外交防衛委員会の質問内容です。

参議院議員 牧山ひろえ 外交防衛委員会質問 2007.12.13
参議院議員 牧山ひろえ 外交防衛委員会2007.12.13
○委員長(北澤俊美君) テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。

○牧山ひろえ君
 民主党・新緑風会・日本の牧山ひろえでございます。よろしくお願い申し上げます。  さて、質問に先立ちまして、本日の朝刊一面にありました記事、イージス艦に関する特別防衛秘密の流出問題、いわゆる特防秘について述べさせていただきます。  先ほどネット上などでこの事件が一斉に報道され、神奈川県警と海上自衛隊警務隊は、資料を作成した海上自衛隊のプログラム業務隊に所属していた三等海佐を、日米相互防衛援助協定、MDAなどに伴う秘密保護法違反の疑いで逮捕しました。同法違反の容疑で逮捕されたのは初めてのことです。  石破大臣、この点について、担当大臣としてコメントはございますでしょうか。お答えください。

○国務大臣(石破茂君) 事案については、今委員が御指摘になったとおりでございます。繰り返しません。
 初めての事案でございます。このことを我々は深刻に受け止めなければいけない。
 平成十四年の事案でございますので、そのころはまだリスクの管理に対する意識が徹底していなかったということは、残念ながら事実としてございました。その後、私どもといたしまして、こういうことが起こりませんように、いろんな対策を打ってまいりました。例えて言えば、私有パソコンを職場に持ち込むことは絶対にやってはならない。あるいは、私有パソコンなどによる業務用データの取扱いは禁止する。可搬記憶媒体に出力するデータは強制的に暗号化するような、そういうソフトを導入する。そういうような抜本的な対策を取りまとめたものでございます。
 こういうような記憶媒体によりますコピーのようなものは実際に想定ができなかったというところがございまして、対策が後手に回った点は否めません。そういうような暗号化等々によりましてこういうことが起こらないというような対策は講じてまいりましたが、本日逮捕されたという事案を受けまして、更にこれを徹底する。そして、もういつもモラルに帰すとおしかりをいただきますが、やはり自分たちが何を取り扱っているのだということについて、もう一度意識の徹底を図る必要があると私は考えております。大変申し訳ございません。

○牧山ひろえ君
 調べでは、三等海佐は二〇〇二年ごろ、資料が入った記録媒体を海上自衛隊の第一術科学校の教官に渡し、特防秘を漏らしたのだそうです。捜査当局の調べに対して、逮捕された三等海佐は、特別防衛秘密と分かっていた、術科学校の教官の三佐に依頼されたと供述しているそうです。
 十一月三十日、日中防衛交流の一環として中国海軍の幹部が来日しましたが、そのとき、アメリカからの圧力でイージス艦の公開を中止したではありませんか。なのに、身内から機密情報が漏えいするとは何事でしょうか。
 報道によると、関係者数百人以上から事情聴取されていて、ある自衛隊員に関しては、自宅のパソコンにその情報が保存されていたとのことです。言語道断です。せっかく防衛省の疑惑が少しずつ明らかになってきたのに、またしても疑惑が生まれたではありませんか。
 大臣、今度の事件は、「ときわ」、ペコスどころの騒ぎではなくて、一九五四年に日米で交わされた秘密保護法違反ですよ。一体国民にどのように弁明するのですか。是非、大臣、コメントをいただきたいと思います。

○国務大臣(石破茂君) この事案が起こりましたのは、平成十四年というふうに委員御指摘になったとおりでございます。で、アメリカの圧力によってイージス艦の公開が中止された云々かんぬんということがございました。そのことについて、どういう理由であるかということは、私が今申し上げるべきことだとは思っておりません。
 ただ、十四年に起こった事案でございます。先ほど少し答弁が足りなかったのかもしれませんが、結局、私どもでも、例えば会館で仕事をいたします、十分仕事が終わらなかったのでパソコンを持って帰ってみたいなことがございました。今はそのようなことはいたしておりませんが。つまり、そういうような電子記憶媒体みたいなものに対する認識というものが平成十四年当時は残念ながらきちんと徹底していなかったのではないか。仕事をするのに家にパソコンを持ち帰るということが当たり前のように行われておったのではないか。国会議員でも家にパソコンを持ち帰る、あるいは移動の最中にパソコンを打つということはございますね。民間企業でもそのようにしておるはずでございます。それと同じ意識でおったということが極めて問題だと私は思っております。
 また、以前であれば、ある情報をコピーしようと思うと紙でこんなにコピーしなきゃいけなかった。ところが、今はぱぱぱっとパソコンのキーを押すだけでさっと入ってしまうということがございます。そういうことで発覚しにくかったという事実もございましょう。したがいまして、暗号化であるとか、どんなに家で仕事をしたくてもパソコンは家に持って帰ってはいけません、あるいは私有のパソコンを持ってきてはいけません、そういうようなことを考えられる限り厳格にやっております。
 いずれにいたしましても、委員御指摘のように、極めて重大な事案であるということで、これ以上考えようがないほどの対策というものをやっていかねばならない。そのために仕事の効率に多少の影響が出たとしても、それはやむを得ないことだというふうに私は思っております。

○牧山ひろえ君
 民主党からは航泊日誌を提出してほしいとこの間の委員会で申し上げましたけれども、速やかに包み隠さずできるだけ情報を見せていただきたいと重ねてお願い申し上げます。黒塗りはやめてほしいと思います。石破大臣、よろしいでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) この民主党からの御要請については、理事会でいろいろな協議がなされているというふうに承知をいたしております。私どもとして、委員会の審議に資すような情報は、それは適切に理事会の御決定を経て提示をしなければならぬと思います。
 ただ、今委員御指摘の黒塗りはやめてくれというお話でございますが、何時何分にどこの地点にいたということは、これは出せません。それはどの国でも出していない。すなわち、何時何分にこの地点におり何時何分にこの地点におりということを全部明らかにいたしますと、その船が一体どういうような定性的な性向を持って行動しておるかというのがそれは分かります。相手に対してどういうような補給ポイント、あるいはどのような護衛体制を取っておるかということをうかがい知られるということは、我が国のみならず、補給の相手方の国にとっても大きな影響を与えるものでございます。
 私どもは護衛艦を、イージスに限りませず護衛艦を随伴させておりますのは、それは補給という行為をやっておることが実に攻撃に対して脆弱性を持つものであり、そのテロの、空からあるいは海からその攻撃をどう避けるかということで護衛艦を随伴させておるものでございます。そして、当然のことながら、相手国の艦船の安全というものも私どもは考慮しなければなりません。
 私どもの国のみならず、相手国との関係、そして補給全体の安全性、その観点から黒塗りの部分が出ますことは、これはやむを得ないということをどうか御理解賜りたいと思います。

○牧山ひろえ君
 今まで余りにも黒塗りが多かったものですから、できる限り情報を開示していただきたくお願い申し上げます。
 では、本題に移りたいと思います。
 本日は十分な時間をいただいておりますので、三つのテーマについて質問を行いたいと思います。
 まず一点目ですけれども、今国会の再延長に関しての質問でございます。九月十日からの臨時国会は既に三十五日間も延長されて今日に至っています。本来であれば、参議院選挙後の八月から国会会期を設定すれば今日のような事態には陥らなかったのであろうと思います。この延長に関しての議論は各党の判断によるところが多いと思いますけれども、本日は官房長官に御出席いただいておりますので、是非お伺いしたいと思います。
 そして二点目は、前回、十一月二十七日の外交防衛委員会にて石破防衛大臣にお願いしました防衛省のホームページに関しての件です。こちらの件につきましては石破大臣のリーダーシップが早速発揮されており、今後もますますの情報開示を望むところでございます。
 三点目は、時間の都合によりますけれども、海外派遣された自衛官に関しての問題です。前回質問する予定であったものです。
 では、早速、質問に入らせていただきます。
 九月十日から十一月十日までの会期で開会したはずの今国会は、十一月九日の衆議院本会議で会期延長が議決され、今日に至っています。臨時国会は二回まで延長できるため、審議状況を見ながらの延長であったとも言えます。やはり、今日現在でも新テロ法案の審議は道半ばであり、どうやら政府の国会対応自体は道半ばであるとも言えそうです。本来であれば、参議院選挙明けの八月から国会を開会して国民の民意を問う審議をすべきであったのに、なぜか九月の十日からやっと国会が開会されたのは今でも不思議でございます。いずれにしても、政府・与党の国会対応自体に疑問符を付けざるを得ません。
 さて、この国会会期中、毎日多くの議員が登庁して知恵を絞っている事態でございますけれども、このコストたるや膨大な額になると想定されております。これまでも各方面で、国会会期中の一日のコストは幾らなのか、それぞれの視点で報告されていますが、本日は官房長官が御出席でありますので、是非ともその額を伺いたいと思います。
 まず、一点目の質問といたしまして、国会の会期延長にかかわる費用は、閉会中と比較して幾らの費用を必要とするのでしょうか。もしお分かりでしたら、官房長官、教えていただきたくお願い申し上げます。

○国務大臣(町村信孝君) 突然のお尋ねでございますから、どのくらいのお金が掛かるかよく分かりませんが、国会全体のことは、これは衆議院なり参議院なりに聞いていただきたいと思います。我々議員の方は、会期が延長されようがされまいが、歳費自体が増えたり減ったりすることはない。地方議会になりますと、会期手当といったようなもので会期中には特別のプラスアルファが出るような議会もあるやに聞いておりますが、私ども国会議員の方はそういうことがないわけで、会期延長になったからといって、特にその部分で直接お金が増えるということはないとは思います。
 ただ、これもちょっと必ずしも私正確じゃありませんけれども、開会になれば、例えば守衛さんとか速記の方とか、そういった方々の経費が増えてくるということは想像できるところであります。

○牧山ひろえ君
 国会の会期を延長することによって生じる費用については一概に言えないというのは理解できますけれども、かねてから各方面で一日三億円との試算を目にします。
 本日配付の資料をごらんください。この資料は、この三年間の衆参を合わせた国会の予算額と国会会期中の会期の日数を示したものです。なお、平成十七年度と十八年度は決算額で、本年度は予算額となっています。また、本年の会期日数は、十二月十五日までの二百六十三日として表記してあります。
 しかしながら、いかに重要な国政の議論の場といえども、いたずらにその会期を延長してよいものではございません。会期中の十一月十五日、総理が渡米し、衆議院で可決された新テロ法の報告に行きましたけれども、具体的な成果はあったんでしょうか。私は先日、党の部会で、この模様に関して、北朝鮮のテロ支援国家解除に関しての議論があったのかと外務省の担当者に伺いましたけれども、明確な答えはございませんでした。
 官房長官、是非ここで、北朝鮮のテロ支援国家解除問題に関しての所見と、この会談で実際にどのような会話があったのか、官房長官、教えてください。よろしくお願いいたします。

○国務大臣(高村正彦君) 先般の日米首脳会談では、次のとおりの成果がありました。
 まず、日米同盟は、日米両国がアジア外交を展開する際のかなめであるとともに、日米がグローバルな諸課題に対処していく上で不可欠の役割を果たしているとの認識を共有し、この同盟を一層強化していくことで一致いたしました。特に、福田総理より、日米交流を強化するイニシアチブを説明し、ブッシュ大統領より支持をいただきました。
 日米同盟と日米のアジア政策の共鳴について話し合いました。福田総理より、強固な日米同盟をよりどころにする積極的なアジア外交によって実現されるアジアの発展は日米共通の利益である旨述べ、これに対しブッシュ大統領から賛同を得ました。来年の洞爺湖サミット及び第四回アフリカ開発会議に向け緊密に協力し、気候変動、アフリカ開発、国際保健分野等に関して世界規模での協力関係を強化することで一致しました。北朝鮮問題への対処、テロとの戦い等について、引き続き緊密に連携していくことで一致をいたしました。
 日米関係は我が国外交のかなめであります。同首脳会談の成果を踏まえ、引き続き、政治、安全保障、経済を含む幅広い分野において米国と緊密に連携していく考えであります。
 以上のように、大変な成果があったと思っております。

○牧山ひろえ君
 もう一度繰り返しお聞きしたいんですけれども、北朝鮮のテロ支援国家解除問題に関しては、どういうお話合いがあったんでしょうか。

○国務大臣(高村正彦君) 十一月十六日の日米首脳会談において、北朝鮮問題については、六者会合を通じて北朝鮮の核兵器、核計画の完全な放棄を実現すべく日米が引き続き緊密に連携して努力していくことで一致をしました。
 また、テロ支援国家指定解除の問題について、福田総理はブッシュ大統領との間でしっかり話し合いました。福田総理からは、我が国が北朝鮮に対して拉致問題での進展を求めており、特に被害者の帰国を重視していること等、具体的に説明をいたしました。これに対してブッシュ大統領からは、拉致問題の日本における重要性は理解している、日本政府と日本国民の間には米国が拉致問題を置き去りにして北朝鮮との関係を進めるのではないかとの心配があると理解しているが、拉致問題を決して忘れることはない、北朝鮮は完全かつ正確な申告を含め非核化措置をきちんと実施しなければならない、日朝関係の改善も核問題と並行していく必要がある等の発言があり、日米間で緊密に連携していくことで一致をいたしました。
 政府は、拉致問題を始めとする諸懸案を解決し、日朝関係を進めるための真剣な努力を行っており、米国も我々のこうした努力を最大限支援することを明らかにしております。今回のブッシュ大統領の福田総理に対する発言は、こうした米側の姿勢を伝えるものであると考えます。

○牧山ひろえ君
 決して忘れることはないというのは正確な訳ではなかったというふうにお聞きしております。
 次に移ります。
 今国会においては、既に一回会期の延長がなされ、政府・与党は更なる再延長をもくろんでいます。この状態を国民が理解してくれるのか、疑問でございます。
 さて、国会の会期中であれば幾ら掛かるのか、この質問に対して明確な答弁がありませんでしたので、仮に国会の会期中に一日三億円必要であるとの試算を基に次に進みたいと思います。なお、この一日三億円との根拠は国会予算を三百六十五で割ったものであり、実際の執行額よりは少ないのではないかと思います。
 十一月十一日から十二月十五日までの会期は五週間、つまり三十五日です。一日三億円であれば、既に百五億円を国会の会期延長に増やしているのです。さらに、会期の再延長となれば、おおむね倍の二百億円ほどが必要であるとも積算できます。要するに、海上自衛隊が補給活動で給油した油の総額に匹敵するだけの額を議論に費やしているということなのです。正に本末転倒としか言いようがございません。
 例えば、これだけの額があればどんなことができるんでしょうか。最近の原油高に対して政府が各自治体に灯油購入費の補助策を打ち出していますが、そちらに充当してもよいと思います。政府は五百から六百億円規模の予算規模で応じると伝えられていますので、仮に二百億円あればその三割ほどを賄うことができるんです。
 後期高齢者保険への充当として計上するのもいいかと思います。十月三十一日の日経新聞では、七十五歳以上の方二百万人の人に対して三百六十億円の国庫負担金が必要であると伝えています。仮に二百億円あれば半分をカバーできます。
 さらには、障害者自立支援法の抜本的な見直しに必要とされている約四百億円の資金への拠出もいいでしょう。原則一割負担にあえぐ障害者の方々には朗報となることです。
 いずれにしても、国会運営のお粗末さが税金の無駄遣いにつながっていると思います。
 政府は来年の洞爺湖サミットを成功させようとのスローガンを打ち出していますけれども、それに先立って横浜市で開催される第四回アフリカ開発会議、TICADWへの予算も増額してアフリカ諸国への支援を充実させるのも一つの考え方だと思います。
 TICADは日本政府が国連、世界銀行などと共催するアフリカの開発をテーマとする国際会議で、これまで一九九三年から五年に一回東京で開催され、今回が初めての東京以外の都市、つまり横浜での開催となります。前回の会議では、アフリカから二十三名の要人が来日し、合計一千名もの方々が参加する有意義な議論の場となりました。
 TICADの設立目的は、アフリカ諸国を貧困から救い、平和プロセスを進行させ、自立を促すことにあります。また、近年、世界的なテーマとなっている気候変動問題に関しても議論が行われると聞いております。横浜において開催されるこの会議を成功に収めるためには、政府によるこのアフリカ開発会議、TICADの取組を一層強化することを望むところでございます。正に国際貢献というのであれば、給油活動よりも、サミット開催や今申し上げたTICAD開催の費用に充ててもよいのではないかと思います。
 やや本題からそれますけれども、TICADW開催に関連して、現地で活動しているNGOの方々の声を代弁させてください。
 ある勉強会で、アフリカでNGO活動を展開している日本人の活動家からヒアリングを行いました。次のような意見です。
 外務省の国際協力局は、NGOの意見を聞いてはくれるが、政策に取り入れてはくれない。政府の方針をトップダウンでNGOに指示、つまり下請する。アフリカの現場で働くNGOの意見を取り入れて方針を策定してほしい、そういう御意見もありましたし、また、アフリカには世界各地から各NGOが支援活動に来ているが、欧米のNGOに対しては、かつての植民地支配の影響からか余り良い印象はない。しかしながら、日本のNGOに対してはとても好意的であり、この点を差別化して日本の外交のプラス材料にすればよいのではないかと思うと、そういった御意見がございます。また、各NGOは、活動の年次報告の義務が重荷となり、長期的な計画に基づく活動がしづらいとも言っております。
 では、せっかくですので、こうしたNGOの意見を外務省はどのように受け止めておられるのか、お聞かせいただけますでございましょうか。外務大臣、お願いいたします。

○国務大臣(高村正彦君) NGOの方たちはそれぞれ現場で志を持って一生懸命働いてくださっている方でありますから、そういう方たちの意見は十分耳を傾け、また同時に、政府としてお手伝いできるところはお手伝いをする、逆にお手伝いをしてもらうこともある、連携して、人間の安全保障等、そういったことを進めていきたいと、こういうふうに思っております。従前からそういう心掛けでやってきておりますが、これからますますNGOの占める役割は大きくなっていくと思いますので、これからもそうしていきたいと思いますが。
 ただ、NGOでも同じことについて正反対の意見を持っているNGOもたくさんあるわけで、例えば同じ国民といってもそれぞれ意見が違うのと同じように、NGOでも全く違う意見があるわけで、あるNGOが自分たちの意見が反映されないと、こういうことを思うところがあるかもしれませんが、そういう点は個々にあり得ることでありますが、十分耳を傾けていきたいと、こういうふうに思っております。

○牧山ひろえ君
 NGOの方々のお話には是非とも一層耳を傾けていただきたいとお願い申し上げます。
 TICADの話題になりましたので、せっかくですからこの機会に、日本政府の海外支援活動、国際貢献の在り方を更に議論していただきたいと要望します。
 では、本論に戻りたいと思います。
 前総理大臣の突然の辞任劇は、膨大な国会開会コストとなって国民生活に負担を強いているのです。国会ではまるで打ち出の小づちを使うようにお金を湯水のごとく使っていますが、国民生活では考えられないような無駄遣いをしているのです。民主党がさきの参議院選挙でスローガンにした無駄遣いの見直しとは、こうしたことを指すのでございます。
 重ねて申し上げるならば、さきの通常国会の会期を延長させ、その結果、参議院選挙が二週間延期されたことによる各自治体の損失額も見逃せません。選挙公報、公営掲示板、投票所の確保など、あらゆる選挙事務に間接的に影響を及ぼしたのが通常国会の会期延長でございます。与党の都合で莫大な税金が無駄になったのは周知のとおりでございます。
 民主党が提案する無駄遣いの見直し策については与党から机上の空論であるとの声も聞かれておりますけれども、こうした現実の出来事を一つ一つ見詰めれば現実論となるのです。国会での議論は国民生活に直結するものばかりでありますから、どうかこの点を御配慮の上、コスト意識を併せ持った国会運営をしていただきたいと思います。
 更に続けるならば、先日、六日から九日までの日程で民主党の議員団らが中国を訪問しましたが、この活動に対して官房長官が、国会が大詰めの審議を控えているときに大挙して日本を離れる、多分自民党なら許さないだろうと記者団に対して御発言されていますが、正に本末転倒。そもそも、前総理の突然の辞任劇があったから今日まで国会が延長されているのではないでしょうか。
 この中国を訪問する草の根交流は、早くから企画立案されているプロジェクトで、一九八六年から続く大切な日中の民間交流の場でございます。国会をボイコットする目的で実施されたものではございません。新聞報道にありますとおり、私たちは、北京市の人民大会堂で胡錦濤国家主席とお会いして、一人一人友好の握手をさせていただき、参加者全員で記念撮影をするといった日中の友好親善を図る活動をしてまいりました。この活動に呼応するかのごとく、なぜか外務大臣が先んじて北京入りしていたようです。少なくとも、私たちは草の根交流を通じて大きな成果を上げてきました。
 さて、この国会会期延長に関して、巨額の税金を投入してまで会期を延長している現在の政府・与党の国会対応が無計画なのではないでしょうか。正に、国民感覚と懸け離れた政府ではございませんでしょうか。このお手盛り感覚について何か御意見がございましたら、官房長官、どうぞよろしくお願いいたします。お答えください。

○国務大臣(町村信孝君) 委員、とても多くのことを言われたので、どこをどう触れていいかよく分かりませんが、国会運営のことをあれこれ言うと、これは内閣の方の立場で議会の皆さん方を何か批判しているようなことにもなりかねませんから十分注意をしなければいけませんが、余り委員が国会運営のお粗末さ等々をおっしゃると、それは議長あるいは委員長に対するお言葉になってしまうのではないのかなということをまず心配になりました。
 それから、確かに総裁選挙で、これは安倍総理が急遽お辞めになり、ここで一か月近く空転をした。このことは、率直にこれは野党の皆さん方に私もおわびをしなければいけないと思っております。ただ、病気ということもあったものですから、しかしそのことは大変反省をいたしておりますが、ある意味じゃやむを得ないところもあったことは御理解をいただきたいと思います。
 国会運営をできるだけ効率にすべきであるということは、それは私も一議員として全く同感でございまして、より具体的なまた御提案を牧山委員からいただければと思っております。
 これもまた言うと、別に委員長始め理事の皆さんを批判とか意見を申し上げるつもりもございませんが、例えば与党理事の方からは、衆議院の外務委員会あるいは防衛委員会やっていないのだから、連日参議院の方でこの委員会をお開きいただいたらどうかという御提案もあったと新聞報道で聞きました。例えばそういう形で連日この委員会がもし開かれていたとすれば、それはそれで一つ効率的な委員会運営ということになったのかなと思いますが、しかし、これはもう委員長、理事の皆さんでお決めになることでございますから、私があれこれ申し上げることでもないんだろうと、こう思っております。
 いずれにいたしましても、国会の無駄をなくすというのは私も大変歓迎をするところでございまして、委員とも力を合わせて国会の改革に努めてまいりたいと思います。

○牧山ひろえ君
 いずれにしても、私が申し上げたような無駄遣いを続けている限り政治が良くなるはずもなく、ましてや国民生活が向上するとも思えません。
 さて、先週末、報道各社が世論調査を実施しています。では、資料をごらんください。
 これは直近の世論であろうと思います。十二月現在のものですけれども、NNNの方は給油活動再開に関して賛成が四七、反対が四一、JNNは賛成が四二、反対が五〇、ANNは賛成が三七、反対が四五でございます。
 まず、給油活動の再開については、三社の平均で賛成四二、反対四五となり、国民が給油活動の再開に関してはっきりとノーと言っていることが分かります。衆議院での再可決に関しても、賛成三九、反対四四となり、五ポイントの差で国民はノーと表明しています。
 この私がお配りしましたデータの横の方に十一月のが、FNNと書いてあるのが十一月なんですが、十一月の参考値と直近のこの十二月現在と書いてあるデータを比べますと、大きな差があることが分かります。正にこの間、十二月現在、今のデータと十一月のこのデータを取ったときの間に相当な議論が重ねてこられたと思いますけれども、その結果、その結果を受けて国民はノーと言っているんです。国民は、衆議院と参議院の両院が賛成してこそこの法案を議決すべきであるとも感じているのでしょう。湯水のように税金を浪費し、国民世論も無視しながら、どうして今国会を再延長してまで新テロ法案を成立しなければならないのでしょうか。
 この件に関して政府としてはいかがお考えでしょうか、官房長官、石破大臣、それぞれの御所見をお願い申し上げます。

○国務大臣(町村信孝君) 世論調査はいろいろな社の調査がございます。委員がお挙げになったのも一つのデータでございましょうが、例えば産経新聞、読売新聞、日経新聞、まあ朝日新聞もそうですが、大体八月から九月上中旬ぐらいまでは反対が多うございました。しかし、九月下旬ぐらいからはほとんどの社の調査が賛成が多くなっております。
 別に何ら偏見もなく申し上げますと、朝日新聞でさえも十二月四日、再開必要四四%、必要でない四四%という形でイーブンになってきている。それ以前は、ずっと朝日新聞では反対が多うございました。別に特定の社のことを私はあげつらって言っているわけじゃございません。
 そのようなことで、いろいろな社の調査というのはいろいろ変わってきている。しかし、いずれにしても、世論調査はこの補給活動の再開については、かつては反対が多かったが、今は明らかに賛成が多いという姿になってきているというのがこの九月、十月、十一月、十二月の流れであろうと、こう考えております。
 しかし、まだ半分程度ではないかという御意見もありましょう。まだまだ国民の理解が確かに不十分なところもあるのかもしれない。そういう思いで、私どもは政府として、補給活動の再開等々につきましては幅広い世論の、多くの国民の皆様方に御理解をいただけるように、引き続き最大限の努力をしていきたいと、かように考えているところでございます。

○国務大臣(石破茂君) 官房長官から御答弁があったとおりだと思っております。
 ただ、我々として本当に一生懸命御説明をしている。この間の日曜日も官房長官と御一緒に私も渋谷の駅前で演説をいたしました。もちろん賛成もあれば反対もあります。ただ、私どもとして、なぜこの補給を継続をしたいのかということをお話しすると、ああ知らなかった、そういうこととは知らなかったという方が随分大勢いらっしゃいます。実態をきちんとお話しした上で賛成でも反対でも意見を表明していただけるように、私どもとして残された期間更に力を尽くしたいと思っております。その上で反対という御意見があるのは、それはそれで民主主義の世の中、やむを得ないことだと私は思います。

○牧山ひろえ君
 先ほども申し上げましたように、十一月の統計では賛成意見がやや多く、反対意見がやや少なくなっていますけれども、それから、今、石破大臣が申し上げられたように、たくさんの議論が尽くされて、その結果、現在、いろんな統計の集計した平均がこれでございます。十一月よりも明らかに反対が多くなっているんです。ですから、いろんな議論を、両サイドの意見を国民の方が意見を伺って、そしてそれを受けての皆さんの結論は今現在これでございます。ですから、これが、いろんな統計はあると思いますけれども、世論調査、三つのメーンの世論調査の集計がこれでございます。
 いずれにしても、この会期の再延長で新テロ法案を一月十二日まで温め続け、衆議院で再議決することには国民は納得しないということです。お手盛り国会の象徴ともいうべき現状を国民は冷ややかな目で見ているはずでございます。私は、今、国会で新テロ法案を議論するのではなく、民生支援などを視野に入れた新たなアフガニスタン支援策を議論すべきであると思います。いま一度仕切り直しをして、次期通常国会できちんと議論するべきであると思います。よって、この延長国会において更なる再延長をしていくことには納得できません。
 お時間があれば、舛添厚生労働大臣方の参議院選挙における公約、年金問題は最後の一人まで、一円に至るまで徹底した調査をするという件に関しても言及したかったのですが、これらのテーマはここまでとして、次に進ませていただきます。
 先月二十七日、私はこの委員会の場で、防衛省のホームページにおける同省の国民への説明責任について石破大臣に質問と要望をいたしました。その内容は、防衛省に関する一連の不祥事をホームページで全面的に公開して、きちんと謝罪をすること。さらには、その内容は、トップページのバナーボタンから国民が容易にアクセスできるようにすることでした。
 さて、その翌日、十一月二十八日に守屋前防衛事務次官が収賄の容疑で東京地方検察庁に逮捕されました。日本の防衛政策を担う役所の事務方のトップを務めていた方が逮捕されるという異例の事態に国民が驚いていることと思います。私はこの事態を受けて防衛省のホームページの更新状況をチェックしておりましたところ、本日配付しております資料のとおり、石破大臣の記者会見を報じる内容の記事が更新されました。資料の三をごらんください。
 先日、私が石破大臣にお願いしましたのは、一連の不祥事を謝罪するトップページのバナーでございます。これは、配付資料のとおり、トップページで明確に更新されていますけれども、石破大臣からのお知らせと、あいまいな表現で記載されています。配付資料四のとおり、リンク先のページでは、防衛省を預かる防衛大臣として国民の皆様に深くおわび申し上げますと大臣が発言しているのですから、是非、トップページのバナーは石破大臣からのお知らせではなく石破大臣から国民の皆様へのおわびとして、国民に対しての真摯な態度を示すべきではないでしょうか。
 更に申し上げれば、私は、前回十一月二十七日、補給艦「ときわ」による給油取り違え問題に関してホームページへの掲載を求めておりましたが、昨夜、防衛省に再度お願いした結果、今朝やっと掲載しましたと報告を受けました。ですが、ページの内容は、こちらです。(資料提示)ページの内容は単にPDFファイルを添付しただけでございます。この問題に関しては既にあらゆる場で議論が深まっているわけですから、給油量を取り違えていた経緯を国民に分かりやすくイラストなどを交えて説明すべきであると再度要請いたします。
 しかしながら、掲載しましたと報告してくださったのに、掲載の日付が何と十一月六日となっております。昨夜、防衛省の方に、ホームページのどこかにリンクされているのでしょうかと尋ねましたら、リンクもしていないし掲載もしていないとたしか答えを受けました。今まで掲載していなかったのであれば、なぜ十一月六日の日付になっているのか、不思議でなりません。  このページだけではないです。ほかの今日御報告があった、今日掲載しましたという、今朝防衛省の方から御報告があったんですが、各ページにいろんなバックデートした日付が、バックデートというか、前の日付が書いてあります。十月二十九日、十月二十九日、十一月六日。とても不思議に思います。
 大臣、私は、防衛省のホームページ更新に関して石破大臣のリーダーシップを確認することができ、大変感心しました。せっかくですから、もう少し踏み込んだ内容を掲載して、防衛省の国民に対する責任、説明を果たすべきだと考えております。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) 委員は、マスコミの御出身でもいらっしゃいますし、そしてまたこの夏の選挙の御当選でいらっしゃいますから、ある意味、一番人々の暮らしに近い感覚をお持ちなのだと思っております。
 私どもとして、ホームページを作りますときに、役所の理屈ではなくて、国民の方々の見る目線に立って作るという意識をもう少し持たねばならないというふうに考えております。官報ではございませんので、見る人が見たらどう思うだろうかというような感覚を大切にしていかねばならないと思っております。
 私も、この間の委員の御指摘を受けて、私の記者会見等、一番先に出してくれということで直させました。ただ、それがお知らせというのは確かに違和感ありますわね。お知らせではないだろうと思います。それはやっぱりおわびというものであるべきだ。私の言葉ですから、そこはやっぱりおわびという言葉が私は適切なのかなというふうに今思っております、実際おわびをしておるわけでございますから。
 あるいは、アクセスの容易性、あるいはリンクというものがもっと容易にあちこちに行けるように、あるいは国会において提出しておりますものが一般の国民の方にも見えるようにいろんな工夫が要るのだろうというふうに思っております。
 私自身、自分のホームページでも更新していないじゃないかとよくおしかりをいただいておるのでありまして、ホームページの更新は実は物すごく労力が要って、議論をしなければいけませんが、国民の立場に立ってというホームページを作るべく、御指摘を踏まえて改善をしてまいりたいと存じます。

○牧山ひろえ君
 恐らく、石破大臣もホームページを、今おっしゃられたようにホームページをチェックされて、同省のホームページ責任者に今回の更新を指示したものであると思います。こうした国民が望む情報をなるべく早く掲載するよう、石破大臣のリーダーシップに再度御期待したいと思います。
 ただし、今回のトップページのバナーの更新は守屋氏の逮捕を受けてからの更新であり、やはり防衛省が一連の不祥事に関して国民に反省の態度を示しているとは言い難いと思います。私は、そもそも守屋氏の逮捕は、防衛省の長年にわたる慣習、つまり職員の体質が引き起こしたものであると思います。
 「とわだ」の航泊日誌の誤破棄問題についても、昨夜も再度防衛省にお願いし、やっと今朝掲載してくださったそうですが、テレビ局出身者として申し上げたいのですが、ホームページは今や最大のメディアの一つだと思います。また、ホームページは防衛省の顔だなと思うんです。また、防衛省のある担当者は、一連の不祥事に関してのコメントをマスコミは取り上げてくれないんですと言っておりましたけれども、防衛省自身のホームページであれば、防衛省の一存でいかようにもなると思うんです。  ですから、他人が言う前に、不祥事やミスが起きた場合は御自身で自発的にその経緯を説明し、謝罪文を掲載していただきたいと思います。この事件は本来、当時の担当者及び責任者を早期に特定して、しかるべき処分をすべきであるという調査を現在しているはずであり、その経緯を随時国民につまびらかにして報告を続けていくべきであると思います。今朝やっと掲載された内容は、実は十月のものでございます。
 なお、十二月十二日現在、「とわだ」の誤破棄問題は、当事者、責任者が判明していないと防衛省の政府控室からの確認が取れましたし、十月十日付けの官房長のお名前で防衛省に対する文書管理体制について指示が出ていると思うのですが、実際に詳細な調査がなされているのかどうか、やはりいま一つ分かりません。
 やや論点が右往左往しておりますので、ここで整理したいと思います。
 先日、私が大臣に要望したのは、一連の不祥事に関して防衛省が国民に真摯な姿勢で報告、謝罪するということでした。今日現在、防衛省のホームページではトップにバナーが一つできただけで、一連の不祥事の原因はすべて守屋にあるとでも言いたいのでしょうか。このところ、防衛省をめぐる問題の論点は防衛装備品に関する調達システムの不透明さに移っているようですが、あくまでも一連の不祥事があるわけですから、一つ一つ事実をつまびらかにしなくてはなりません。事実を事実として誠心誠意明らかにしていかなくては、いつまでたっても防衛省の疑惑は枚挙にいとまがない状態が続きます。
 ところで、いわゆるお役所仕事は、政官業の鉄のトライアングルが談合と癒着を生み、国民不在の政治システムに終始しています。我が党の長妻議員は、こうしたお役所仕事の問題点をHAT―KZシステムだと表現しています。月曜日の決算委員会でも我が党の藤本議員が触れておりますので、詳細に紹介させてください。
 このHAT―KZシステムは、Hはひも付き補助金システム、Aは天下りあっせん・仲介システム、Tは特別会計システム、Kは官製談合システム、そしてZは随意契約システムの頭文字を取って命名していることは大臣も御存じのとおりだと思います。
 例えば、今回の防衛省の一連の不祥事に関してこのHAT―KZシステムを当てはめると、Aの天下り仲介システムは、防衛省から、水増し請求で問われている山田洋行へ何人ものOBが再就職していること。Kの官製談合システムは、防衛省の装備品調達に関する数々の疑惑を示していること。Zの随意契約は、言うまでもなく防衛装備品予算の七割を超える特定メーカー、商社との契約をしていることを示します。御存じのとおり、十八年度防衛装備品の中央と地方調達を合わせた総額約二兆円のうち一・六兆円近くが随意契約です。件数比でも七割を超えています。さらには、Hを示すひも付き補助金システム、Tを示す特別会計システムの二つも、何らかの形で正に実現されているのであろうと思います。この造語は、今の防衛省の一連の不祥事に対して明快な説明をしていると言っても過言ではありません。
 大臣、私はこうした状況を細部にわたって検証すればするほど、防衛省が、身内に対しても国民に対してもますます不信感が広がりつつあると思います。せっかく省に昇格した防衛省ですが、本当に省としての役割を社会的にも政治的にも、さらには国際的にも今の世界観に合致していないと考えざるを得ません。防衛省の省内の自己改革について、そして国民に対しての説明責任について、だれがこの一連の不祥事に関して責任を持つのか、石破大臣、是非分かりやすくお答えください。

○国務大臣(石破茂君) こういうことが分かりやすく御説明できればいいのですが、私も防衛庁の副長官というものをやりました。そのうち防衛庁長官を二年やりました。今、防衛大臣として四か月目をやっておるところでございます。知れば知るほどこの複雑さというのがよく分かってくる。これが分かりやすく説明できるような能力を私は持ちませんが、委員もアメリカの弁護士の資格をお持ちですから、アメリカのシステムなんかいろんなことを御存じなのだろうと思います。
 日本の防衛の場合には、一つは、天下り天下りというふうに言いますが、では、服務の宣誓をして本当に命懸けで仕事に打ち込んできた人たちを若年で辞めさせなければいけません。そのときに、若年で辞めた人たちをどのようにして社会で受け入れていくかということについて、アメリカと日本というのは物すごい差がございますよね。
 アメリカの場合に、例えばレストランでも、軍人さんが行けばいい席を用意する。飛行機に乗る場合に、上のクラスが空いていれば、軍人さんだからということでそこへ座らせる。なぜならば、この人たちは命を懸けて国家の独立を守る人たちだ、だから市民全員がそういうふうにしなければいけない。退官した後も、彼らは制服は儀式のときには必ず着用をいたします。予備役の将軍として、あるいは提督として、何かあったらば国家の独立のために働くのだということになっております。
 我が国の場合には、そういうような将官たちの予備役に編入をし、そういう人たちを使うということがございません。制服を脱いだその日から民間人としてやっていかねばならないということでございます。ここをどう考えるかという、退職自衛官の退職後の処遇というものをどうするかということについて、本当にどうするんだという議論をしていかなければいけないんだと私は思います。
 天下り、根絶、良くない。それは、確かに一般論としてはそのとおりです。しかしながら、国のために誓いをして、本当に愛する人たちがいながら危険を顧みずに邁進してきた人たちに対して退官後どうするのだということも私は今回併せて議論をしないと、このことの解決は実はできないのではないかと思っています。
 もう一つは、いろんな御指摘がありますが、我が国は武器輸出をいたしません。いたしませんので、これもドイツとえらい違いです。同じ敗戦国でございますが、ドイツは今たしか世界四位か五位の武器輸出国です。それによってコストを下げている。そして、武器を輸出することによって、その国が仮に平和に対して破壊するような行為をした場合にはもうその国には武器を出さないということによってそういう国を抑える、そういうような政策を取っております。
 我が国として武器輸出は行わないという三原則を堅持をしておるところでございますが、それによって非常に調達コストが高いということをどのように考えていくのか。
 そして、ほかの国の場合には、武器をいろんな最先端の技術で造っていくことによってそれがどんどん民生品に波及をしていく、だから武器の技術というものはやはり持っておかねばならないのだという考え方がございます。例えば、私どもの国で国産旅客機というものがYS11以来造られておりません。今、新しい旅客機を造るということでございますが、何十年ぶりにすごい傑作旅客機ができるかといえば、それは相当に難しいことなんだろうと思っております。これは、産業政策の中における兵器産業というものをどのように考えるかということをきちんと直視していかないと、本当に問題の解決にはならないのではないかというふうに私は思っております。
 そういうことに全部責任を転嫁するつもりはございません。防衛省の中できちんとした規律、そしてまた、それが分かるようなシステム、不正をきちんと申告をした人が不当な扱いを受けないようなシステム、そういうものはつくっていかねばならないし、委員御指摘のように国会に対してできるだけの情報を出していかねばならない、それはそのとおりです。
 ただ、それで全部終わるのかといえば、実はきちんと議論をしてこなかった産業政策あるいは退官後の自衛官の人たちの処遇、そういうものについての幅広い議論というのを行うことがまさしく必要なのではないかと、私はそのように思っております。
もし議会においてそういう御議論がいただく機会があるとするならば、私どもとしてそれに対して全力でこたえていく、そのように私は思っておるところでございます。
 責任転嫁をするつもりもございませんし、中で直すべき点は全力で直してまいります。ただ、日本が実は今までちゃんと議論をしてこなかったことがたくさんあるのではないか。私どもとしてその問題提起、もちろん国の政策について私ども、それをきちんと守っていくことは当然でございますが、議会においての御議論というものを賜ることができれば、私どもとして更に事は前進するのではないかと思っておる次第でございます。

○牧山ひろえ君
 時間となりましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。