外交防衛委員会の質問内容です。

参議院議員 牧山ひろえ 外交防衛委員会質問 2008.1.8
外交防衛委員会 2008.1.8 参議院議員 牧山ひろえ
○委員長(北澤俊美君) テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案及び国際的なテロリズムの防止及び根絶のためのアフガニスタン復興支援等に関する特別措置法案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

○牧山ひろえ君
 まず一点目、年頭所感に関して質問したいと思います。
 この年頭所感では、時の総理大臣が推し進める政策やその理念が盛り込まれるものと認識しております。
 昨年は、戦後生まれ初の内閣総理大臣であることを強調した安倍総理のもので、「美しい国、日本」をテーマとして掲げ、北朝鮮のミサイル、拉致問題への対応、一月に省に昇格する防衛庁への期待などが述べられていましたが、大きな成果を残せたかと言えば、いまだに問題山積であると言えそうです。
 北朝鮮関係の問題解決に関しては何ら効果的な政策を打ち出すことができず、むしろ米朝による二国間の協議に期待せざるを得ない状況に陥っている状態です。
 防衛庁の省昇格への期待も残念な結果となりました。先週金曜日に石破大臣が十数分間にわたって述べた年頭の辞からもうかがえるとおりです。私は、今年も石破大臣のリーダーシップに期待をしております。
 一昨年、小泉総理は、年頭所感で改革なくして成長なしとのスローガンを掲げ、五年間の成果を前面に押し出して、三位一体改革、デフレ脱却、観光立国の推進を行うことなどを述べました。しかしながら、今、地方が三位一体改革の影響でどれほど苦しんでいるのか、枚挙にいとまがありません。今般、法人事業税が七都府県から地方に配分されることになったのは、この影響が原因なのでしょうか。
 いずれにしても、昨年、一昨年の年頭所感が時の総理大臣の思いとは裏腹に首尾よく結実しなかったとも言えそうです。
 福田総理は、今年の年頭所感で日本の底力に期待する旨を表明しました。概要は、生活者、消費者が主役となる社会、環境技術で世界をリードすること、地域再生、国際社会とのつながりなどです。過去二年間に比べ、文章としては読みやすいのですが、内容に問題があるように思います。
 まず、年金問題に関しては、過去四十年間の管理方法に問題があるとして昨今の社会保険庁の問題を隠そうとしていますが、これは責任回避でしょうか。質問はしませんが、余りにも軽率な表現であると思います。民主党や経団連がかねてから主張してきているとおり、基礎年金部分の全額税方式の議論すらもお忘れになっているようです。
 いろいろと質問したいところなんですが、二点、官房長官に質問させてください。
 まず一点目、昨年の年頭所感では北朝鮮による拉致問題の全面解決が明示されていましたが、なぜ今年の年頭所感ではその内容が掲載されていないのですか。また、二点目として、昨年九月の自民党総裁選挙において、福田候補は拉致問題を私の手で解決したいと力説していましたが、これはさきの年金公約で最後の一人までが、意気込み、あるいはそれほど大げさなものではないと変化したのと同じように片付けられてしまうのではないかと懸念していますが、いかがでしょうか。官房長官、併せてお答えください。

○国務大臣(町村信孝君) ちょっと突然のお尋ねで、総理の年頭の初記者会見ですか、全文をちょっと今手元に持っておりません。陪席しておりましたのであらかたのことは覚えておりますが、間違ったらちょっとお許しをいただきたいと思います。
 限られた十分少々の記者会見でございますから、すべてを網羅する状態ではなかったと思います。やはり総理大臣としての、年頭といいましょうか、通常国会始まるに当たってのいろいろな多分野にわたるお話というのは、近々始まるでありましょう通常国会の冒頭で行われます総理の施政方針演説、その中で触れられることになると思います。
 まだもちろんファイナル版ができたわけではございませんが、当然、拉致問題の解決、迅速な解決に全力を尽くすということは当然触れられることであろうと、こう思っておりまして、そういう意味で、このことに触れていなかったのではないかという御指摘は、それは正しいのかもしれませんが、限られた時間という制約の中で多分総理はお触れにならなかったのではないだろうかと、こう理解を私はしております。

○牧山ひろえ君
 限られた十分とはいえ、総理は拉致問題を私の手で解決したいと力説されたことですから、こういうふうに言っておられた以上はこれに触れてほしかったというのが私の正直な気持ちでございます。
 さて、残念ながら昨年はこの件について大きな成果が得られなかったと認識しておりますが、今年は具体的にどのような方策を講じて拉致問題を解決させたいと考えておられますでしょうか。拉致被害者の家族のためにも是非具体的なお話をお聞かせいただきたいと思います。官房長官、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(町村信孝君) 表向きの外交交渉の場としては六者協議がございます。そして、その中で日朝間の公式あるいはその事前折衝の段階の協議というものが随時行われているわけでございますし、また、それ以外のいろいろなルートで北朝鮮側との接触も行われているわけであります。
 確かにその逐一を全部今お話をすると多少なりとも委員の御理解も得られるのかもしれませんが、相手のあることでもあり、外交交渉ということもあり、そのすべてをお話しすることができないのは誠に申し訳ございませんが、ただ手をこまねいて米朝協議にすべてをゆだねているというわけではございません。いろいろなルートを通じまして、この拉致問題の一刻も早い解決のために全力を挙げて政府として努力をしているところでございまして、特に御家族の皆さん方がああやって高齢化をされてきた、本当に一刻も早くという思いは総理大臣も、また担当される外務大臣も、また拉致担当の私も共有する思いで、この問題に全力を挙げてこの一年、できるだけ早く解決できるように取り組んでまいりたいと、こういう思いでございます。

○牧山ひろえ君
 時間の関係もありますので、別の機会に是非とも具体的な方策についてお伺いしたいと思います。
 それでは、北朝鮮に関しての懸案課題について伺います。
 核施設に関しては、二〇〇五年九月十九日の共同声明どおり、寧辺の三施設、老朽化した五メガワット実験炉、再処理工場、核燃料棒製造施設の無能力化が、ヒル国務次官補の言葉をかりれば、七五%完了しているとのことです。ですが、肝心なのは、その後取りまとめられたはずのすべての核計画の完全かつ正確な申告が昨年末の期限までに報告されていないということです。  さて、日本は六か国協議の当事者でございます。ならば、米国に協力を要請して北朝鮮と更なる議論をしていくべきではないかと思います。
 日本はこれまで、思いやり予算や米軍基地など、米国に対して多くの借りをつくっております。ならば、今こそ米国から拉致、核問題の全面解決に向けて協力を取り付けるべきではないでしょうか。もっと強気の外交をすべきと思うのです。
 北朝鮮への経済制裁解除の見通しについても心配です。まさか、給油新法案が成立してしまえば、日本政府としてはコミットすることなく、結果として制裁解除となってしまうのではないかと懸念する声も聞かれます。
 昨夜のヒル国務次官補との会談では、こうした懸念にくぎを刺すような議題となったのでしょうか。昨夜の会議でどのような話合いがあったのか、外務大臣、お答え願います。

○国務大臣(高村正彦君) 昨七日、佐々江アジア大洋州局長は、来日したヒル国務次官補との間で、六者会合の今後の進め方、とりわけ北朝鮮の核計画の申告に関する問題について意見交換を行いました。
 この協議における具体的なやり取りについては、米側との関係もあり、明らかにすることは差し控えますが、ヒル次官補からは、北朝鮮と申告について議論を行ってきたが、いまだ北朝鮮は完全かつ正確な申告を提出していない等の説明がありました。その上で、双方は、北朝鮮が昨年十月三日の六者会合成果文書に明記されているとおり、完全かつ正確な申告を提出することが重要との点で一致し、また申告の問題を含め、日米間で引き続き緊密に連携して北朝鮮の非核化を前に進めるための努力を重ねていくことを確認したわけでございます。

○牧山ひろえ君
 では次に、世論調査についてお聞きしたいと思います。
 私は、前回十二月十三日、世論調査の結果を通じて、国民が給油新法案の衆議院再可決に反対しているのではないかと問題提起いたしました。これに対して官房長官は、大体八月から九月上中旬ぐらいまでは反対が多うございました、しかし、九月下旬ぐらいからはほとんどの社の調査が賛成が多くなっておりますと御答弁されました。
 本日配付している資料をごらんください。この一覧表は、新聞各社の月次世論調査のデータをまとめたものでございます。
 さて、町村官房長官がおっしゃるとおり、五社の平均値は、九月から十一月では賛成とする意見が反対を上回っていました。
しかし、十二月のデータをごらんください。五社のうち三社の結果で明確に反対です。さらには、五社の平均値を見てみると、四一対四五で反対意見が賛成を四ポイント上回っているのです。つまり、これは国民が給油活動の再開を望んでいない、あるいは給油活動の再開を望まない声が多いと言えると思うのですが、官房長官、いかがでしょうか。

○国務大臣(町村信孝君) いろいろな世論調査の数字がありますから、どこをどう見るかということなんだろうと思います。したがって、どの新聞がどうこうとここであえて申し上げるつもりもありませんが、いずれにしても、世論調査の結果だけで物事が決まるのであれば、これは世の中とても簡単なんだろうなと、こう私は思います。もとより、世論調査に表された国民の皆様方のお考えというものは私ども謙虚に受け止める必要があると、そう思いながらこの調査結果などを見ているところでございますが。
 いずれにいたしましても、引き続きこの法案の必要性、そしてこの給油活動再開の必要性というものについて、私どもは国民の皆様方に引き続き訴えていかなければいけないと、こう思っておりますし、もっとも、これ成立していない法案を余りPRすると今度いけないと、こうおしかりを受けることもありますから、なかなかその辺が難しいところではあるんですけれども、私どもとしては引き続き国民の理解を得ながらこの給油活動再開について最大限の努力をしてまいりたいと。是非近いうちに参議院においても、その態度といいましょうか、賛否といいましょうか、その辺をはっきりしていただければ有り難いなと期待をしているところでございます。

○牧山ひろえ君
 前回もいろいろな調査があるのでという御発言がありましたけれども、これらは大体のメジャーな世論調査を集めたものの平均でございます。
 では、これらの統計で給油活動再開に反対とする意見が賛成とする意見を上回った場合、政府としては反対意見の方々にそれでも給油活動が必要であると納得させられる説明ができるでしょうか、できますでしょうか。官房長官、お答えください。

○国務大臣(町村信孝君) 国民の皆様方の御理解をいただく努力、これまでもやってきたつもりでありますし、これからもまたやっていかなければいけないと、こう思っております。ホームページもありますし、いろいろな広報媒体もあります。様々な努力をしていきたいと思っております。
 なお、世論だけで、ちょっと大変失礼なことを申し上げたかもしれませんが、例えば昭和六十三年でしたでしょうか、消費税導入の大議論が国民的にあったことを私はいつでも思い出すわけでありますが、あの折、多分世論調査をすれば、もう一対九十九ぐらいの割合で多分消費税導入は皆さん反対だったと思います。私ども、それでも必要であると判断をして法案を可決をいたしました。確かに、その直後の参議院選挙負けました。衆議院選挙でも大変厳しい結果が出たことを私は今でも覚えております。しかし、その瞬間の世論の動きでもしすべてが決まるのであれば、消費税は今日まで存在しなかっただろうと思います。しかし、私は消費税というものが、これからの高齢化社会を見据えたときに、安定した財源の一つとして是非とも必要なものであるという考え、当時もそのように考えましたし、今でもそう考えております。
 したがいまして、是非委員には御理解をいただきたいのは、確かに国民の目から見てインド洋での給油活動というのは遠い存在かもしれない、なかなか理解されづらい自衛隊の海外における活動に関することかもしれない、そういう意味での国民の賛成が十二分に高いとは言えない状況にあるかもしれませんが、しかしそれでもやはり私どもは責任ある政治家として必要な政策というものは是非進めていかなければいけないんだと、そういう役割というものを政治家という者は常に負っているのではないのかなと、そんなことを考えながら、一人でも多くの国民の皆さんの御理解を得るための努力をしているつもりでございます。

○牧山ひろえ君
 世論調査というのは結局国民の意見の表れですから、私は重んじる必要があると思いますし、決して無視してはいけないと思っております。
 石破大臣にも同様に伺いたいと思います。
 大臣は日ごろから、インド洋における給油活動は日本の国際貢献活動として重要であると各方面で説明されております。大臣の職務に対する真摯な姿勢は十二分に理解できるのですが、この活動の重要性について説明はもう尽くされたとおっしゃいました。大臣は前回の御答弁で、一生懸命御説明をしているとし、さらに、その上で反対という御意見があるのは、それはそれで民主主義の世の中、やむを得ないことだと私は思いますとおっしゃいました。
 少なくとも昨年末現在、国民世論は反対とする意見に明らかに傾いています。大臣の理論であれば、民主主義は多数派の意見が採用されるはずですから、現在の国民世論をかんがみれば、この給油新法案は今、国会で決議されるべきではないと思います。このまま給油新法案が再可決されてしまうことは国民世論を無視することになります。どうしても可決されなければならないという固執にも思えるのですが、大臣、民主主義、すなわち世論を重んじるのであれば、もう一度仕切り直しをして議論を再開すべきであると思いますが、いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) やはり数字として反対される方が賛成を上回ったということは事実として受け止めなければいけないことだと思っております。
 なぜこうなったかについてはいろんな議論があるだろうと思います。一つは、キャッチフレーズ的に油を出すよりうみを出せと言えば、それはなるほどそうだそうだというふうにお思いになる方があるでしょう。油も出すしうみも出すというよりは油を出すよりうみを出せって言った方が、何となくそうだなっていうところがあるんだろうと思います。あるいは、これだけ原油が高騰してきたときになぜただで出さなきゃいけないのって言われると、ああそうだねというふうにお思いになる方があるのは、それはもう事実として私ども認めねばならぬのだろうと思っています。
 私はこのお正月、選挙区に帰って、私の選挙区です、私の支持者の方から、石破さん、何でインド洋で補給しなきゃいけないのっていう御質問をいただいて、ああ、自分の選挙区でもまだきちんと説明できていなかったんだという反省は正直いたしたところでございました。五分ぐらい掛けてかくかくしかじかという話をして、ああそうだったのって、こう言われたのですね。  ですから、私も防衛省のホームページ、あるいはいろんな場所で一生懸命説明をしていますが、やはりなお説明の足らざるところがあるのだろうと。限られた期間ではございますけれども、私として、政府の一員として官房長官あるいは外務大臣と御一緒に、なぜ必要なのかということを最後まで訴えていかねばならぬのだというふうに思っております。
 長くなって恐縮ですが、過酷なところで、やめちゃうって言えばそれは簡単なことなのです。簡単なことなのですが、ですけれども、歯を食いしばってでもやらなきゃいかぬことはある、自衛官たちに大変な負担を掛けてでもやらねばならないことが世の中にはあるのだというふうに私には思えてなりません。
 この原油が高い中にあって、仮にインド洋においてタンカーにダメージがあるようなことがありとせば、それは日本の経済というのは今みたいなことでは済まない、もっと大きな打撃を受けるのだろうと思います。そして、世界各国百九十二の国がありますが、海軍を有し、その中において長期間にわたってインド洋というような遠いところで補給が続けられる能力を持った国というのは世界数か国しかないのでございます。世界数か国しかない能力を持っている我が国が、それはやらない、しかしインド洋における航行の安全は是非皆さん守ってくださいな、私どもは利益だけ享受します、私どもの国はそうであってはならないのであり、補給をする能力を有している以上、それは世界に対する責任として何とかやらせていただきたい、これが私の思いでございます。

○牧山ひろえ君
 石破大臣の地元で五分で説明が御理解いただけたのであれば、今まで十分な時間を費やして説明されたのではないでしょうか。いずれにしましても、国民の給油活動に対する意見は固まりつつあり、結論から申し上げれば、給油活動の再開にノーと国民は表明しております。過半数の国民はノーと表明しております。
 世論調査のテーマの締めくくりとして、配付資料をごらんください。
 これらの地雷除去車は、日本のメーカーがODAを活用して民生用の建設重機を改造したものです。こうした地雷除去車はカンボジアやアフガニスタンでの現地試験を終え、昨年からはアフガニスタンで実際に稼働しているものです。山口委員も予算委員会で提案されていますが、私はこうした地雷除去車がアフガニスタンの各地で活躍し、世界最悪とも言われるアフガニスタンの対人地雷埋設地域における地雷除去活動に役立つのであれば、どんなにすばらしいのであろうと思います。
 テロ特措法では二百億円を超える巨額の国費が国際貢献の名の下で油代に使われていましたけれども、せっかく巨額の国費をアフガニスタンに差し向けるのであれば、地雷除去車を使って再びアフガニスタン国民に農地を利用できるようにしてはいかがでしょうか。いわゆる自衛隊を派遣できない地域であるからという制約から、それではできないとの答弁になるのでしょうか。
 日本の英知を集結し、今こそ油ではなく真にアフガニスタン国民の将来に役立つ支援をすべきであると思います。日本特有の高度な技術を生かすことができれば世界からの評価は更に高くなるでしょうし、何しろ憲法に違反しない、また給油に反対している国民を無視しない活動を堂々と展開することができます。
 今こそ党利党略を超えてこの国会の英知を集結して、こうした支援を何とか実践すべきであると思うのですが、石破大臣、通告はしておりませんけれども、いかがお考えでしょうか、御意見をお聞かせください。

○国務大臣(石破茂君) 私ども、党利党略でやっておるわけではございません。これをやることは、先ほど官房長官からも御答弁がありましたが、ある意味世論にすごく受けることだと私は思っていないのです。イラク派遣もそうでした。イラク派遣も反対の方が非常に多かった。何でイラクに出すんだというおしかりをいただきながらもイラク派遣の法律を作り、サマワであのような活動をやり、今も航空自衛隊が継続中でございます。
 委員御指摘のように、このような活動というものもいろいろできるんだろうと思います。こういう技術は確かに日本特有の技術であり、こういうことをこれから先どのようにやっていくのか更なる御議論をいただきたいと思いますし、私ども政府として、こんなことやらないで油だけよということを申し上げるつもりは全くございません。いろんなことをやらなければいけませんし、特にアフガニスタンにおいて農業を再興していくというのは極めて重要な課題であると認識をいたしております。
 ただ、あえて申し上げれば、先ほども答弁で申し上げましたように、あのインド洋で補給活動ができる能力を持った国というのは、正直、世界数か国しかございません。アメリカ、イギリスあるいは日本あるいはフランスあるいはドイツ、世界数か国しかあの海域をパトロールしている船に対して常続的に恒常的に燃料を補給するということはできないわけでございます。日本でなければできない活動ということを考えましたときに、私は委員御指摘のこの地雷除去、対人地雷除去というものも今後政府として真剣にもっと検討していかねばならないことだと思いますが、あわせて、日本として本当に補給活動をし、あの海域の安全を保つ、船舶の効率を高めるということも党利党略ではなくて世界のためにやらせていただきたい、私どもは本当に真剣にそう思っておるところでございます。
 仮に委員から党利党略というふうに言われることがありとせば、それは私どものところに足らざるところがあるかもしれません。どうかまた御指摘をいただきたいと存じます。

○牧山ひろえ君
 時間の関係上、TICADW、横浜で開催されるTICADWに対する質問に移らせていただきます。
 外務大臣、横浜で五月に開催されるTICADWへの御決意を手短にお願いいたします。

○国務大臣(高村正彦君) 手短に申させていただきます。
 今年五月のTICADWでは、近年、平和の定着や民主化の進展、経済の成長で明るい兆しの見られるアフリカ諸国を後押しするために、元気なアフリカを目指してというメッセージの下、アフリカの支援のために我が国を含む国際社会の知恵と資金を結集したいと考えております。
 現在、首脳級のTICADWへの参加については三十か国以上から前向きな反応を得ており、これまで以上に多くの首脳の参加を得て、アフリカ諸国のニーズや希望を酌み取り、その成果を七月に開催される北海道洞爺湖サミットにつなげていきたいと考えております。

○牧山ひろえ君
 続きまして、国際的なテロリズムの防止及び根絶のためのアフガニスタン復興支援等に関する特別措置法案、いわゆるテロ根絶法案について伺います。
 アフガニスタン国内の情勢についてはるる各場面で報告がなされていますが、法案提出者としてアフガニスタンの現状認識とこの法案の意図についてお答えください。

○浅尾慶一郎君 アフガニスタンにおいての現状認識と法案提出の意図をお答えさせていただきたいと思いますが、アフガニスタンにおいては、平成十三年の同時多発テロに対応してアメリカ等の諸外国が行った武力行使及びこれに引き続く治安活動にかかわらず、頻発するタリバンの残党による抗争やテロ行為により治安がむしろ悪化し、同国の中心的な産業である農業の基盤も破壊され、貧困による国民生活の崩壊が国際テロの温床となっているという認識を持っております。
 本法案は、そうしたアフガニスタンの現状認識の下に、国連安保理決議一六五九を踏まえ、アフガニスタンにおける武装集団が行っている武器を用いた不法な抗争を停止し及びその停止を維持する旨のアフガニスタン政府と当該武装集団等との間の合意の形成の支援その他アフガニスタンの国内における安全及び安定の回復に資するための措置を講ずるとともに、アフガニスタンの国民の生活の安定と向上に向けた自主的な努力を支援すること等により、我が国がアフガニスタンの復興の支援を通じて国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に寄与し、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とするというのが法案の意図でありまして、要するに、そのアフガニスタンの治安回復のために、まずは、今行われております抗争を停止するということに我が国が機能を発揮するべきだというのが法案提出の意図でございます。

○牧山ひろえ君
 では、法案にある停戦合意と抗争停止合意の違いについて、その違いを御説明いただきたいのですが、その際、抗争停止合意とはだれとだれの間の合意であるのかもお示しいただければと思います。

○犬塚直史君 条文上はアフガニスタン政府と武装集団等の合意としているわけですが、アフガニスタン政府はカルザイ政権のことを言っております。武装集団に該当するものとしては、具体的にはタリバンを想定しているわけでありますけれども、アフガニスタン国内で武器を用いた不法な抗争を行う武装集団がほかにいればこれを排除するものではないということなんです。だれがタリバンだということについても、なかなかその特定が難しいという中でこのような表現をしているわけでございます。

○牧山ひろえ君
 ありがとうございます。  今直ちにアフガニスタン復興支援のために人を出すことについてはいろいろな議論があると思います。法案提出者としても抗争停止合意の形成の可能性についても御意見があると思いますが、最後に一点質問させてください。
 今回のテロ根絶法案について、このアフガニスタン復興支援活動は、テロ防止、根絶にどのように役立つのでしょうか、御所見をお聞かせください。

○浅尾慶一郎君 テロの資金源となる違法麻薬の栽培あるいはテロリストに人材供給が行われているという点におきまして、現在のアフガニスタン、ケシの栽培は、約既に世界の栽培の九三%程度をアフガニスタンで栽培されていると言われているようなことが報道されておりますが、そうした現状を考えますと、そのアフガニスタンの復興支援を通じてテロリストに協力する者を減らすということがまず期待ができるということであります。
 テロリストに協力する者が減るということによって、アルカイダを始めとしてテロリストグループの活動に打撃を与えることができるというふうに考えておりまして、そういう意味におきまして、今回、私どもは、実効性の高いテロとの戦いというふうに考えておりますし、また、いわゆる出口戦略も含めた法案だというふうに認識をしております。

○牧山ひろえ君
 時間となりましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。