決算委員会の質問内容です。 

参議院議員 牧山ひろえ 決算委員会 2008.4.21
決算委員会 2008.4.21 参議院議員 牧山ひろえ
○牧山ひろえ君
 今日は、東京国際空港、以後、羽田空港と言わせていただきます、羽田空港の再拡張、国際化に伴う国、国土交通省の認識や今後の方針について伺いたいと思います。冬柴大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、空港整備は世界各地で進んでいます。アメリカではデンバー国際空港などのハブ空港が有名ですが、アジアでは韓国の仁川国際空港、シンガポールのチャンギ国際空港などが大規模な整備を終え、国際ハブ空港としての機能を発揮しております。まさに各国は国際ハブ空港の主導権を握ろうと国家プロジェクトで空港の整備を推進していると言えます。
 特に注目すべきは中国国内の空港整備で、今年八月八日に開幕する北京オリンピックを契機として猛烈な勢いで整備が進んでおります。北京にある首都国際空港は二月二十九日に新ターミナルの供用を開始し、首都の空の玄関口として経済成長で急増する旅客需要に対応するほか、チャーター機の受入れもするとのことです。中国の国内では百件近い空港整備計画があるとのことで、まさにハブ・アンド・スポークの航空網が着々と生まれつつあります。このように、世界各国、とりわけアジアにおいては経済成長に伴って人と物の動きが活発になっております。
 では、そうした中で、日本の空港整備は増大するアジアのニーズに対応できるでしょうか。この点については後で述べたいと思いますけれども、私は必ずしもアジアの航空ニーズに対応する体制にはなっていないと思います。今こそこうした現状を踏まえて、我が国の航空行政について、再考も含めてビジョンを示すべきときであると思います。
 航空行政の概要として、国交省の航空局は、航空輸送の果たす役割を国際交流の拡大、観光立国の推進、地域間交流の拡大、地域の活性化、都市の再生、我が国の経済社会の活性化、国際競争力の向上と説明しております。言うまでもなく、すべての項目についてそれぞれの重要性を確認できるのですが、特に本日議題としたい国際交流の拡大や観光立国の推進、国際競争力の向上など、明確に政府のビジョンを示さなければならないと思います。
 まず、大臣から、我が国の航空行政の現状と今後の課題について、特に国際交流の拡大、観光立国の推進、そして国際競争力の向上の点を中心に御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○国務大臣(冬柴鐵三君) アジア・ゲートウェイということで、我々の航空政策もその中に盛り込まれております。
 首都圏では成田が国際拠点空港、そしてまた羽田が国内拠点空港であって成田を補完する、国際線もそこから比較的近距離には飛ばすということでございます。そしてまた、関西国際空港は我が国では初めての二本の滑走路を持った二十四時間供用のできる国際規格の国際拠点空港であります。そのほか中部国際空港、これも、一本しかありませんけれども、国際空港としての役割を担っております。
 それ以外にもたくさんの空港が、我が国には地方空港がありますけれども、これについては国際的には今までのように航空協定というものを結ばなければ入れなかったわけですけれども、我々といたしましては、ここを開放いたしまして、航空会社の判断によって乗り入れが可能とするような開かれた航空政策を取ることとしているわけでございます。
   〔委員長退席、理事神本美恵子君着席〕
 観光につきましては、羽田、成田は、二〇一〇年の三月に成田は拡張、二本目の空港が拡張を遂げることができます、二千五百メートルですけれども、そして羽田につきましては、同じ年の二〇一〇年の十月に、今D滑走路、四本目の滑走路が造られつつありますけれども、ここが十一万回年間で増やすことができまして、そのうちの三万回を国際線、近距離の国際線に、近距離というのはどうもいろいろもっと飛ばすべきだという議論がそこへ出てくるものですから、なぜ私が近距離と申しますかといいますと、成田との関係でございます。
 それで、我々は、千葉と埼玉と東京と神奈川、この四都県とそこにあります四つの政令市、この八つの政令市と国土交通大臣も入りまして、成田と羽田との役割分担、これを協議した文書があります。その中で、先ほど言いましたように、成田は国際拠点空港、そして羽田は国内拠点空港ということを原則としつつ、羽田につきましても成田を補完するという意味で、日本の一番遠い空港、羽田から一番遠いところ、これは石垣空港に当たります。一応、おおむねそこを基準として円を描いたときにその中に入るあるいは周辺に入るところというようなところへは、羽田から、定期便の話ですが、飛ばしてもいいのではないかということが合意をされたわけです。
 したがいまして、私はその合意というものを大事にしておるわけでございまして、もしそれを変更するならば、ここから例えばシンガポールにも飛ばすべきである、ムンバイまで行くべきだというような議論もありますけれども、それは、そういうところの合意というものをそれは見直すことができればその結果そういうことは起こり得るけれども、現在の時点ではやはりその八者の協議というものを大事にしていかなければならない、こんなふうに思っているところでございます。
 私どもは、そのような枠組みの中で、この観光、四面環海の我が国におきましては、すべて人流、物流共に海を越えて来ていただかなければならないわけですから、その玄関であります空港あるいは港湾というものがきちっと整備されなきゃならない。空港については、先ほど申し上げましたようなアジア・ゲートウェイという構想に基づいて、大枠は現在、先ほど述べたような形でやろうということでございます。
 なお、私は、上海の虹橋空港という、これも国内拠点空港だったわけですけれども、そこへ羽田から定期チャーター便を飛ばすこと、昨年の九月二十九日でございましたけれども、日中国交正常化三十五周年の記念日に第一便を飛ばすことが成功いたしまして、私も日帰りで行ってまいりましたけれども、今大いにそういうところを中心に観光客がこちらからも向こうからも往復をしているということでございまして、できれば北京についてもそういうことができればというふうに思っているところでございます。

○牧山ひろえ君
ありがとうございます。  いずれにしても、やはり航空行政のみならず、政府、関係団体が一丸となって我が国の国際競争力の維持と向上を図るべく、今後も航空行政の御努力に期待したいと思います。
 ところで、外資ファンドによる空港会社への参入が去年の十一月ごろ議論になったところです。羽田空港の旅客ターミナルを管理する日本空港ビルデングの株式を外国の投資ファンドが買い進めたことが話題になりました。三月七日、政府は、空港に対する安全保障上の規制の在り方について引き続き検討し、年内に結論を出す方針としましたが、外資ファンドによってこれまでの空港の安全基準を保つことが困難になってしまうことなどがないよう、今回の件を教訓により一層の安全保障対策を求められるところであろうと思います。いずれにしても、国内最大の空港が増大する航空需要を適切に処理し、旅客の安全な航行を担保できることを要望します。
 この件に関連して確認をしたいのですが、現在羽田空港の敷地にはターミナルの運営会社である日本ビルデング株式会社や駐車場を管理する財団法人があると思うのですが、この羽田空港の空港敷地はだれの所有となっているのでしょうか。お答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

政府参考人(鈴木久泰君) 羽田空港につきましては、私どもが直轄で管理をさせていただいております空港でございまして、その敷地は国有地となってございます。

○牧山ひろえ君
分かりました。
 羽田空港の敷地は国有地であるということが確認できました。つまり羽田空港内にある跡地も国有地でありますから、その敷地の有効的な活用方法については是非とも国がリーダーシップを発揮して、先ほども申し上げましたように国際交流の拡大や観光立国の推進、国際競争力の向上などに資する施策を実施していただきたいと思います。
 では、羽田空港の再拡張、国際化について議題を進めていきたいと思います。
 御存じのとおり、羽田空港は既に能力の限界に達しており、首都圏における将来の航空需要の増大、また国際的に見ても羽田への乗り入れ要請が増加しており、早急に対応しなければならないと各方面で言われております。現在、先ほど大臣がおっしゃっていたように、二〇一〇年十月の供用開始を目指して四本目の滑走路が建設されているとのことですが、この羽田空港の能力の限界が解消されると期待されています。
 ここで、この再拡張工事の進捗状況について、完成の見通しと供用開始時期などの御報告をお願いいたします。

○政府参考人(鈴木久泰君) お答えいたします。
 羽田空港の四本目の滑走路を造ります再拡張事業でございますが、若干漁業補償交渉等に手間取っておりましたがこれもまとまりまして、昨年三月三十日に現地で本格着工をいたしました。それ以後、二十四時間三百六十五日の突貫工事を進めてきております。これは現空港の三本の滑走路を使いながらの工事でございまして、この運用の安全を図りながら、確保しながらやっておりますので、夜間は滑走を止めてみたりしながら進めておるわけであります。
 その中で、埋立部と桟橋部と大きく二つに分かれております。多摩川の河口に掛かる辺りは川の流れをせき止めないように桟橋構造にしておりますが、この桟橋の部分につきましては、陸上でジャケットという大きな構造物、最大千三百トンぐらいの構造物を製作しておりまして、それを現地で海中深く九十メーターぐらい、固い地盤まで打ったくいの上に設置をするという工事をやっております。この桟橋部分のジャケットの設置工事は今年の一月九日に初めて一基設置されまして、今大体全体の一割ぐらいの設置が進んでおる状況にございます。それから、埋立部分につきましては、まず地盤改良が要りますので、その地盤改良をずっとやっておりましたが、これが完了いたしまして、現在護岸といいまして、枠の部分の築堤工事に取りかかっているところでございます。
 いずれにいたしましても、二〇一〇年十月末が供用開始目標でありますので、それに向けて引き続き着実に工事を進めてまいりたいと考えております。

○牧山ひろえ君
ありがとうございます。
 では、ここで羽田空港の国際化について、訪日外客数の視点に立った議論に進みたいと思います。
 御存じのとおり、好調なアジア経済、特に中国経済は猛烈な成長を遂げています。これに伴ってアジアから日本を訪れる外国人はますます増加していると、こうした報道が最近よく聞かれます。国際観光振興機構、JNTOによると、今年二月の訪日外客数の推計値では約七十万人の外国人が日本を訪れているとのことですが、そのうち中国からが八万五千人、香港からが五万六千人、シンガポールが一万一千人、タイからが一万人などとなっており、いずれも前年比で一〇%から三〇%の高い伸びを示しております。そのほか、オーストラリアやカナダからの訪日外客数も高い伸びを示しています。
 そこで、お伺いしたいのですが、最近アジア諸国、特に中国からの訪日外客数が高い伸びを示していると想定されますが、例えばここ数年間で訪日外客数はどれほど増加したのでしょうか。

○政府参考人(本保芳明君) お答え申し上げます。
 訪日外国人誘致のための運動をビジット・ジャパン・キャンペーンという形で展開しておりますが、これがスタートいたしましたのは二〇〇三年でございまして、その時点で五百二十一万人の外国人がいらっしゃっていましたが、それから二〇〇七年まで六〇%増えまして、八百三十五万人になっております。
 その中で地域別に見てまいりますと、一番高い伸びを示しているのがアジアでございまして、七五%でございます。国別で申し上げると、中国が最大の伸び率で、同じ期間で一一〇%でございます。ただし、国別に見ていった場合に、ボリュームの面で申し上げれば実は韓国が最大の量的伸びでございまして、百十四万人この間で伸びておりまして、この間の全体の増分が三百十四万人ですから約三六%が韓国と、こういう状況になっております。
 いずれにしましても、アジア全体の伸びで現在訪日外国人に占める約七割がアジアからおいでになっていると、こういう状況でございます。

○牧山ひろえ君
ありがとうございます。
 では、冒頭でも議題となった観光立国のテーマについても伺いたいと思います。
 経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二年に基づき、外国人旅行者の訪日を促進するグローバル観光戦略が平成十四年十二月に発表され、その後、今お話にもありましたビジット・ジャパン・キャンペーンが実施されています。このキャンペーンは、当時、日本人の海外旅行者が約千六百万人であるのに対して、我が国を訪れる外国人旅行者がその三分の一以下であったことから、その差をできる限り早期に是正することを目的としてあったものであったと記憶しております。
 このキャンペーンの目標は、二〇一〇年までに一千万人の訪日外国人誘致を実現することであり、現在もその目標に向かって様々な努力をされていると認識しております。去年日本を訪れた訪日外客数は、JNTOのデータによると八百三十四万七千三百人で、前年比一二・七%増えました。このデータを見る限り、政府のビジット・ジャパン・キャンペーンは予定どおり目標数に向かっているかと推測されます。
   〔理事神本美恵子君退席、委員長着席〕
 この点に関して質問いたします。
 これまで政府は、ビジット・ジャパン・キャンペーンにお幾らぐらい投資をして、その結果どのような効果が得られたとお考えでしょうか。二〇一〇年に一千万人との目標達成までの見通しも含めて御答弁いただきたくお願い申し上げます。

○政府参考人(本保芳明君) お答え申し上げます。
 ビジット・ジャパン・キャンペーンの予算でございますが、二〇〇三年に二十億円でスタートをしておりまして、今年度予算は三十四・五億円ということになりまして、この間の伸び率は七二・五%と申し上げていいと思います。ただいま申し上げている数字は国費でございまして、国際観光の振興は地方との連携が非常に重要でございますので、地方連携事業ということで、自治体あるいは地元の観光業者さんと一緒になったキャンペーンを実施しております。この関係で十億円ぐらいの地元の負担があるものと思いますので、トータルではこれを足した形で数字を御覧いただければ有り難いと思います。
 この予算によりまして、本格的な海外のプロモーションが展開できておりまして、対象国・地域のマーケティングに応じたメディアを通じた情報発信でありますとか、海外の旅行会社を日本に招いてのツアーの実施というような形でプロモーションを展開しているところでございます。
 この結果、先ほど申し上げましたように、我が国の認知度が相当大幅に向上したと考えておりまして、四年間で約三百万人、六割の増加が得られたものと、このように見ております。最近少し円高に振れつつあるところがありますけれども、一千万人の二〇一〇年までの目標は何とか達成できるんではないかということで努力してまいりたいと思っております。

○牧山ひろえ君
ありがとうございます。
 観光は日本の次なる主要な産業にもなり得る重要な産業ですから、是非とも目標の達成に向かって御努力いただきたいと思います。さらに、観光庁の設置も近いと思いますので、日本は欧米の諸国に見習って観光産業からの収入ももっと増やしていくべきであろうとも考えます。
 先ほどの御答弁で、中国はもとより、韓国、タイなど多くのアジア諸国からの訪日外客数が高い伸びを示していることを確認できました。本日は韓国の李明博大統領が訪日中ですが、この際、ビジット・ジャパンのホームページに掲載されているキャンペーン対象市場及びターゲットの内容が現状と合っていませんので、更新してはいかがでしょうか。
 このホームページは、韓国からは若年層と熟年層、アメリカからはシニア層と高所得者層、香港からは二十代から四十代の有所得者などとターゲットが具体的に示されています。ところが、中国からは私企業経営者、ホワイトカラー、専門職となっています。これは当時のデータあるいは経済情勢を参考にして一覧化したのだと思いますが、やはり最近の中国人観光客の訪日ぶりを見ておりますとちょっと違うと思います。
 最近では、銀座や新宿、秋葉原で買物を楽しむ姿や、箱根、日光、ディズニーランドなどに向かう事例が多くお見受けいたしますので、富裕層のみならず様々な所得層や年齢層の中国人観光客が訪日していると言えます。先ほどのデータでも確認できるとおり、今や中国人は日本の観光産業にとっては大切なお客様なのです。ですから、そろそろビジット・ジャパンのホームページも近年の実情に合わせた内容に更新してみてはいかがでしょうか。
 ついでですが、「ようこそ!美しい国、日本へ」のキャッチフレーズも変更の必要があると思うのですが、いかがお考えでしょうか。ビジット・ジャパン・キャンペーン実施本部の本部長は国土交通大臣でありますから、御意見ありましたらお聞かせください。

○国務大臣(冬柴鐵三君) ホームページについて御意見をいただきました。
 日中はやっぱりほかの国と違いまして、まだそこまで成熟していないんです、我々の受入れが。要するに行方不明になられるといかぬというようなところから、大変、五十人単位の団体旅行というところが主だったわけです。私はそれはもうないんじゃないのかなということで、できれば家族連れあるいは友達で来ていただく、そしてその場合でも添乗員を日中双方で一人ずつ付けるというと大変な負担になっちゃうんですね。これを一人にしていただきたいというようなことで、いろいろ警察庁あるいは外務省に働きかけまして、今年になってから初めて夫婦と子供さんで中国から来ていただきました。そういうことで、これからは広がっていくだろうと思います。
 それで、韓国の場合はノービザなんですね。ですから、二百六十万人というすごい数で日本に来ていただいた、去年はですね、来ていただいているわけでございまして、そういうちょっと国情とかいろんな面であるんですけれども、昨年は先ほど言いましたように日中国交正常化三十五周年という佳節を刻んだわけです。したがいまして、これを日中観光交流年としようということにしまして、日本から中国には十九の都市の空港に定期便が飛んでいます。したがいまして、その一つの空港に対してほぼ千人単位で旅行客を送り込みますということを私の方から向こうの観光大臣に申しまして、向こうからは日本には十七の地方空港へ、あるいは首都もありますけれども、定期便が中国から飛んでいます。したがいまして、そこへ千人ずつというのはちょっと無理かも分からないけれども、来てもらいたいということで、いわゆる三万人の相互交流計画というものをやったんですが、これは大成功になりまして、日本からは二万四千七百人、そして向こうからは、ちょっとはっきりしないんですが一万人は必ず超えていまして、一万三千人という説と一万二千人という説がございますが、したがいまして大成功を収めることができたわけです。
 そのように、いろいろ角度を変えて、その都市都市の特徴をとらえて、ある場合は、もちろん三国志に出てくるような都市もありますから、そういう歴史探訪もありますし、あるいは音楽交流とか書道の交流もありました。それから、子供さんが、千葉県の学童が上海へたくさん行かれるとか、そういうところにも私も立ち会いましたけれども、非常に着実に草の根の交流が行われつつあると。それで我々も、このビジット・ジャパン・キャンペーンやるからには、こういうものを定着をさせて、そして大人だけではなしに子供たちが行くということが、交流するということが非常に大事だということで進めているところでございます。
 先ほど、ビジット・ジャパン・キャンペーン以外に、美しい自然も大賛成でございまして、日本は歴史、伝統、文化、そして美しい自然、それから食べ物がおいしいですね、そういうようなものを外国に大いに宣伝をしていきたい。それにふさわしいあれがあれば、御提案いただければ採用させていただきたいと、このようにも思います。

○牧山ひろえ君
ありがとうございます。
 次に、国際線の就航距離に関してお伺いしたいと思います。
 羽田空港は国内線の、成田空港は国際線の拠点であることを基本としている政府の考え方は先ほどもお伺いしました。ですが、この羽田空港の再拡張後には、将来の国内航空需要に対応した発着枠を確保しつつも国際定期便の就航を図ることが各方面で確認されています。
 具体的には、羽田空港から最も長距離の国内線である石垣島との距離の千九百四十七キロメートルを目安とした二千キロメートル圏内の国際線枠があると聞いておりますが、これはさきに述べましたように、羽田空港への乗り入れを希望する航空会社の需要に合うものなのかどうか検討の余地があると思います。いわゆるペリメーター規制ですが、国土交通省の資料を参考にしますと、アメリカではワシントンDCのレーガン・ナショナル空港、ニューヨークのラガーディア空港、イタリア・ミラノではリナーテ空港など、都心に近い空港でも例外を設けて高需要路線の就航を許可しているということが分かります。
 このように、世界各地のいわゆる中心地に近い空港においても需要と供給のバランスを加味したペリメーター規制を行っていることから、羽田空港の国際化に関しても同様の措置が必要であると考えますが、この点について政府はいかがお考えでしょうか。

○政府参考人(鈴木久泰君) お答えいたします。
 羽田と成田の役割分担の問題も絡むわけでございますが、御承知のように首都圏の航空需要は大変旺盛でございまして、現在羽田空港も成田空港も満杯でございます。新しいプロジェクトが完成した後もすぐまた十年後ぐらいには満杯になってしまうということで、その役割分担をよく考えないかぬわけでありますが、今のところは羽田は国内、成田は国際ということで分担をしておったわけでありますが、羽田の四本目の滑走路ができますと十一万回ほど容量が増えるということで、国際も少しお手伝いできるんではないかということで、近距離国際線をまず年間三万回お手伝いしようということになったわけでございます。
 その近距離の目安として、大臣が冒頭御答弁させていただきましたように、地元八都県市と私どもの協議会で、羽田発着の国内線の最長距離、羽田―石垣の千九百四十七キロというのを一つの目安とするという考え方がまず示されておりました。ただ、その後アジア・ゲートウェイ構想、昨年五月に安倍前総理の下でまとめられましたアジア・ゲート構想においていろいろ議論がなされまして、これまでの距離の基準だけでなく、需要や路線の重要性も判断し、羽田にふさわしい路線を近いところから検討し、今後の航空交渉で確定するということにされたわけでございます。
 これはどういう意味かと申しますと、その千九百四十七キロという距離だけを絶対的な基準で線を引いて、その内側が全部当選、その外側は駄目ですよということにしますと、上海が一番その内側で遠いところになります。韓国は全部入りますが、中国は上海ぐらいまでということになります。北京が二千九十三キロ、台北が二千百八キロということで、若干その当選圏のすぐ外にあるわけでありますが、そこら辺までは行かないということになります。
 ただ、羽田にふさわしい路線というのをきちっと選んでいく、例えば観光中心の路線などは成田から行っていただいてもいいんじゃないかとか、あるいはその需要がそれほど多くない都市は成田から行ってもらうとか、そういうことでその中を選んでいけば、先ほどの三万回という枠の中で余裕ができるかもしれない。そうすると、少し外側のところも繰上げ当選といいますか、そういうのが可能になるかもしれないという意味も込めまして、こういう考え方が示されております。
 ただ、これはこれから相手国と二国間で交渉をして、合意をしていく必要がございます。そういうことで、韓国とか中国とかとまずよく話合いをして、慎重にこの路線を選んでいきたいと思っておる次第でございます。

○牧山ひろえ君
ありがとうございます。
 羽田空港の再拡張、国際化は、東京、神奈川のみならずEPA、経済連携協定などのことも視野に入れますと、まさに日本の国益に直結する重要なプロジェクトだと思います。視野を広げるならば、アジアにおいて日本がリーダーシップを発揮することができるかどうか問われているプロジェクトでもあると思います。そうした中で、この羽田空港の再拡張、国際化についての周辺インフラの整備に関しては各協議会で議論が重ねられているところですが、今のところ具体的な整備計画が示されていないのが現状であるかと思います。
 しかしながら、最初に申し上げましたとおり、アジア各地では国策で拠点空港の整備が進められ、既に運用を開始しているのです。これ以上日本が遅れを取ることは、ここにいるだれもが望まないことだと考えます。この羽田空港の再拡張、国際化に伴い人の往来や航空貨物が増大し、結果として周辺インフラの交通量が増えることは確かです。確実です。
 ところが、現状では東京都と神奈川県を結ぶ道路は慢性的な渋滞を引き起こし、経済的な損失を余儀なくされています。羽田空港の再拡張、国際化に併せてこの現状をどのように克服するか、まさに早急な対策が必要であると思います。
 そこで、大臣にお伺いしたいと思います。
 この空港と物流拠点を結ぶアクセスを円滑にするためにはインフラの整備が欠かせないと思います。この空港アクセスについて、また交通渋滞の回避策として政府はどのようにお考えか、お答えいただければと思います。

○国務大臣(冬柴鐵三君) 神奈川県の羽田空港に隣接する地域を神奈川口ととらえまして、これを核とする町づくり、神奈川から羽田へのアクセス改善といった事項を含む神奈川口構想につきましては、国土交通省が主体となりまして、神奈川県知事、横浜市長、川崎市長及び国土交通大臣である私を構成員とする神奈川口構想に関する協議会というものを設置をいたしまして、検討を重ねてきたところでございます。
 このうち多摩川の川崎市側と羽田空港を結ぶ連絡路につきましては、平成十八年二月七日に開催された第四回神奈川口構想に関する協議会におきまして、関係者間でその必要性について共通認識の下、引き続き幅広く検討を進めることが確認された次第でございます。
 このため現在、関係者間で検討を進めるために、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、関東地方整備局及び東京航空局を構成員とする京浜臨海部基盤施設検討会において同連絡路のルート、その構造等について幅広く検討を重ねているところでございます。

○牧山ひろえ君
ありがとうございます。
 いずれにしても、国際化に伴う必要なインフラ整備については早急に実現に移していかなくてはいけないと思いますが、その一例としてこの神奈川口構想は視野に入れていただいていると考えてもよろしいでしょうか。

○国務大臣(冬柴鐵三君) そのとおりでございます。

○牧山ひろえ君
五月に開催されるTICADWや洞爺湖サミットでも、神奈川口構想を含む国際化に不可欠なインフラ整備について政府が前向きである、是非実行に移したいと考えていることをアピールする必要性があると思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(宮田年耕君) 大臣が答弁申し上げましたように、一昨年の二月七日の神奈川口構想に関する協議会で、必要性について共通認識を持って具体化を図るということでございます。今まさに委員お尋ねの、跡地をどうするかということと、このルートがどの位置であったらいいか、あるいは構造、橋にするのかトンネルにするのかというのをどうしたらいいかというのは、まさに喫緊の検討すべき課題だと思っております。先ほどの検討会の方で今鋭意詰めているところでございますので、前向きというふうに御理解いただいて結構かと思います。

○牧山ひろえ君
ありがとうございます。
 今日は、羽田空港の再拡張、国際化についての議題を通して、最初に申し上げましたように、国際交流の拡大や観光立国の推進、国際競争力の向上など多くのテーマを実施することが我が国の国益につながると主張してまいりました。
 私はこれまで世界各国の空港を利用してきましたけれども、日本の空港ほどサービスが行き届いて、かつ安全な施設はないと思います。私の親しい韓国の友人は日帰りで日本でのビジネスをしていますし、やはりアジア圏内では日帰り出張も多いと聞きます。この羽田空港の国際化がもたらすアジアへの影響力については疑問の余地がないと思います。また同時に、陸海空のインフラが隣接する工業地帯は世界的に見ても珍しく、京浜臨海工業地帯の活性化こそ世界の産業を牽引する原動力になるのではないかと思います。
 先日、東京港、横浜港、川崎港が統合を視野に広域連携策の検討に入るなど、港湾面での国際競争力の強化策が報道されました。この広域連携が実ると、コンテナの取扱量で世界十三位に浮上し、韓国の釜山に匹敵する規模の港湾へと生まれ変わるとのことです。このように空港と港湾については整備が着々と進められる予定となっており、物流のかなめとなるアクセス道の整備計画だけが待たれるところです。
 最後になりますが、この羽田空港の再拡張、国際化に併せて、神奈川口構想の実現に向けて政府、関係団体が一丸となった取組をしていただきたく要望を申し上げ、終わらせていただきます。ありがとうございます。