予算委員会の内容です。

参議院議員 牧山ひろえ 予算委員会 2009.3.11
予算委員会 参議院議員 牧山ひろえ
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○牧山ひろえ君
民主党の牧山ひろえです。今日は予算委員会で初めて質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず最初に私が取り上げたい課題としては、教育に関してのテーマでございます。
 実は、私は昨年の六月と十二月、二回にわたりまして教育に関する質問主意書を提出しております。それらの主意書で私は幾つかの問題提起と提案をさせていただいております。
 資料一をまず御覧ください。最近、社会問題となりつつある教育格差の問題です。いろいろな格差はありますけれども、人生のスタートラインですから、あってはならない格差の一つが教育格差だと思います。児童生徒の保護者の所得格差が子供たちの教育格差に関係しているのではないかという問題意識です。子供たちが学校に行き、放課後、学習塾ですとか習い事に行く光景というのは全国的にも見受けますけれども、一方で、そういった同じような機会に恵まれない子供たちがたくさんいるというのは事実でございます。
 私の主意書の答弁として、文部科学省は、平成十九年度と二十年度に小学校六年生と中学校三年生を対象にしました全国学力・学習状況調査というのをやりまして、結果を報告していただきました。その報告書によりますと、就学援助を受けている子供たちの割合が高い学校では点数が低い傾向が見られたということでした。この結果が、保護者の所得格差と子供たちの教育格差につながっているという、そういった安易な発言はできませんけれども、少なくとも私の問題意識を裏付ける一つの答えであるように思います。このほかに、教育格差に因果関係が、親の所得格差があるかどうか、これについてお調べになったことがあるかどうか、文部科学大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○国務大臣(塩谷立君)
 文部科学省としては、具体的にいろんな親の背景とか経済的な状況に応じた学力との関係について調査はしたわけではございませんが、今お話しの学力調査の中で傾向等を測ったわけでございますが、そのほか国際学力調査、PISAとか、そういった国際的な調査あるいは大学研究による研究成果の分析等を通じて保護者の所得と子供の学力の関係などについての情報は把握に努めているところでございます。
 教育格差については様々なとらえ方があるわけでございますが、一概には言えないものの、例えば子供の経済的、社会的、文化的背景と学力や高校卒業後の進路との関係には関連が見られるとの調査結果もあるわけでございまして、ただ、これもそういう傾向があるということでございますので、今後はそういった調査を改めて分析すると同時に、一方で、我が国は諸外国と比べると保護者の職業等が子供の学力に与える影響が弱いという分析もあります。したがって、今後の調査あるいはそういった研究の実績を踏まえる中で、機会均等が大変重要でありますので、教育の質の向上を図るとともに、家庭の経済状況にかかわらず就学機会が確保できるよう、奨学金事業の充実を含めて家庭の教育費負担の軽減に努めてまいりたいと考えております。

○牧山ひろえ君
私の質問主意書に対する答弁、文部科学省が昨年の暮れ、十二月に公表した調査結果を配付資料としてお手元にお配りしております。配付資料二を御覧ください。
 配付資料二で私が矢印で示した文章を読み上げますと、就学援助を受けている児童生徒の割合は、小中とも、A、B問題の別にかかわらず、国語、算数、数学の正答数と負の関係が見られたとあります。つまり、保護者の収入と子供たちの学力に因果関係があり、結果として教育格差が存在するという一つの証明に値すると思うんですが、その後で、因果関係は必ずしも明らかになっていないと書いてあります。
 教育格差で大変苦しんでいる子供がいっぱいおりますので、是非本格的な調査を行う必要があると思いますが、重複しますけれども、もう一度決意をお聞かせください。

○国務大臣(塩谷立君)
 今の質問主意書の答弁につきましては、全国学力・学習状況調査の中で行ったわけでございまして、これ以上どういうふうに行うかということについては、かなり個人のプライバシーに踏み込んだ点もあり、一応の傾向で私どもはとらえているわけでございまして、ただ必ずしも、例えば経済的に所得が低いところの生徒が必ずしも全部学力が低いというわけではなくて、頑張っている学校もありますので、そこは必ずしも一概的に一つの結論が出るものではないと思っておりますが、どういった調査が必要かということは今後検討してまいりたいと思っております。

○牧山ひろえ君
大臣、今プライバシーの問題がおありだとおっしゃっていましたけれども、これバランスの問題だと思うんですが、本当に緊急にこの調査をやっていただきたい。やはり苦しんでいる子供たちがたくさんおりますので、是非緊急にやっていただきたいんですけれども、どのぐらいの目標で、どのぐらいの期間でその調査を終えようとお考えでしょうか。

○国務大臣(塩谷立君)
 今まだ、いわゆる経済状況と学力との関連に関する調査というものはまだやるとは決まっておりませんので、どのくらいでということは今ちょっと答えられませんが、ただ、具体的に現在の経済状況で就学が厳しい人たちに対する支援は早急に行っていきたいと思っておりますし、また先般の委員会での質問にあったいわゆる就学支援の問題、そしてこれが各市町村で行われている基準等の調査を今行っておりまして、これなかなか、結果は大体私どもの手元にありますが、それを分析するのにもう少し時間が掛かりますが、ただ、年度途中であってもそういった厳しい子供たちに対しては早急に対応するように、つい先日といいますか、今日かな、各市町村に通知をしたところでございます。

○牧山ひろえ君
 先日委員会でも取り上げられましたけれども、要保護及び準要保護の児童生徒数はこの十年で倍増しております。就学支援を受けている児童生徒は増加傾向にありますけれども、現状をお聞かせいただきたいと思います。大臣、お願いします。

○国務大臣(塩谷立君)
 就学支援の現状については、現在、対象者、要保護の生徒につきましては全国で十三万二千三百七十二名、そして準要保護の生徒につきましては百二十八万八千七百五十五名、合計百四十二万一千百二十七名ということで、援助総額は九百二十一億円となっております。

○牧山ひろえ君
三位一体改革の結果、就学援助の事務作業が地方に移りました。最近では、厳しい財政状況から各自治体では認定基準のハードルを高くする傾向が見えております。文部科学大臣、この状況をどうお考えでしょうか、お聞かせください。

○国務大臣(塩谷立君)
 先日も委員会の質問でお答え申し上げましたが、この準要保護の認定基準については従来から各市町村が定めているものでございまして、各市町村が地域の実情に応じて判断しているところであるわけでございますが、現在の今お話しあった基準を下げるとか、そういったことに対して大変問題としてとらえて、現在、先ほど申し上げましたが、調査が大体終わりつつありますので、そういった基準等の、できるだけ、基準で下げたことによってその保護、支援を受けられない子供たちが多くならないような努力をしてまいりたいと思っております。

○牧山ひろえ君
 私が大変心配しておりますのはそこなんです。地方にそういった基準が任されているわけですから、地方によってばらばらですよね。ですから、同じ親の所得であっても、その同じ所得が別の地域では認定基準に値しない、そういった、まちまちだということについて大変問題だと思います。それで、それについて不安を抱えている親御さんたくさんいらっしゃると思います。いかがでしょうか。

○国務大臣(塩谷立君)
 特に最近の経済状況によってそういう傾向が見られるということで、私どもも危惧する中で調査をしているところでございますので、先ほど申し上げましたように、市町村にはそういった厳しい状況がある場合には年度途中においてもすぐに対応するようにという通知をしたところでございます。

○牧山ひろえ君
 どういった調査でしょうか。私は、地方でばらばらに決めているというのはもう決まっている事実なので調査は必要ないと思います。国としてリーダーシップを取って基準を設けて、最低これぐらいはという基準を国が決めるべきだと思うんです。調査は必要ないと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩谷立君)
 先ほど申し上げましたように、この基準については地方が決めておりますので、それを今調査してこちらが受けているところでございます。それがどの程度低いか、そういうことはその結果出てくるものですから、それに対してどういうふうにしたらいいかということが考えられると思いますが、いずれにしても地方の実情に応じて決める自治事務となっておりまして、それを根本的にどうするかということは、今回の調査でまた非常にそれが格差があったり、そういうものが出てきた場合には当然検討していくべきだと思っております。

○牧山ひろえ君
調査はやはり要らないと思います。もう地方にゆだねられてまちまちなんですから、それはもう分かっていることなので、やはり国としてしっかりとした基準を設けて、不安を抱えている親御さんの悩みを解消してください。是非、御決意をお願いしたいと思います。

○国務大臣(塩谷立君)
 特に最近の経済状況でいわゆる基準を下げたという話があるわけでございまして、それのやっぱり実態を把握する必要があると思っております。
 いずれにしても、そういった厳しい状況を乗り越えるような対応をしてまいりたいと思っております。

○牧山ひろえ君
私がお願いしたいのは、国としてリーダーシップを取って基準を設けると決意の表明をいただきたいということです。よろしくお願いいたします。

○国務大臣(塩谷立君)
 私どもも子供たちがこの就学援助に対して十分な支援を受けられるように努力をしてまいります。

○牧山ひろえ君
是非直ちにやっていただきたいと思います。
 また、先ほど申し上げましたけれども、就学援助を受けている子供たちには学力の低下が見られるという報告があるわけですから、就学援助の内容の見直しも必要なんではないかと思うんですけれども、こういった丁寧な調査も必要だと思います。いかがでしょうか。

○国務大臣(塩谷立君)
 先ほど来お話ございますように、学力・学習状況調査の結果も踏まえ、また今回の経済状況の市町村からのアンケートの結果を踏まえてしっかりと検討してまいりたいと思います。

○牧山ひろえ君
これは本当に緊急な課題なので、いつごろまでにという目標だけでも言っていただけますでしょうか。お願いいたします。

○国務大臣(塩谷立君)
 先ほど申し上げましたように、今具体的なアンケートの結果が届きつつありますので、それを十分に精査するためにある程度時間は掛かると思いますが、できるだけ速やかに答えを出してまいりたいと思います。

○牧山ひろえ君
それでは、小学校一年生で大変不安を抱えた子供が小学校六年生まで待たなくてはいけないということでしょうか。大臣、お聞かせください。

○国務大臣(塩谷立君)
 そういうことはありません。

○牧山ひろえ君
では大体、最低いつまでにということをお聞かせいただきたいと思います。この答えを待っているお子さんたくさんいらっしゃると思いますので、是非皆さんの不安を解消してください。

○国務大臣(塩谷立君)
 何回も申し上げますが、今アンケートが届いている状況でありますので、それをば、できるだけ速やかにというのは、年度内にはちょっと厳しいなと思っておりますが、来年度初めにはできるだけ早く結果出したいと思っております。

○牧山ひろえ君
 是非、中間報告だけでも近々にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩谷立君)
 中間報告というのはどういう意味かちょっと分かりませんが、いずれにしても今の基準の状況でありますので、多分四月、五月には出せると思っております。

○牧山ひろえ君
 ありがとうございます。
 それでは次の話題に移りたいと思います。
 厳しい経済状況下にあって、今後も子供たちの教育格差がますます悪化していくような気がいたします。
 私は、質問主意書で世代を超えた助け合いの仕組みを提案しております。配付資料の三を御覧ください。この図では、世代を超えた助け合いの仕組みとして、子供たち、退職者、学生という三つの世代を三角に結んで、それぞれが助け合うという仕組みを御説明しております。
 文部科学省が平成十九年度から展開しておられる放課後子どもプランも大変すばらしいと思います。しかし、これは大人と子供の二極が対象であって、幅広い世代の助け合いの仕組みとまではいっていないと思います。
 また、この放課後プランには問題点が幾つかあるということが文部科学省の調査でよく分かりました。そのうちの一つが人員不足です。二つ目が、人員不足による子供のニーズには余りマッチしていない内容というものです。いずれにしても、人員不足が問題になっているということが分かりました。
 また、社会現象として幾つかの課題がございます。第一に、家庭の経済状況によって放課後に学問的なあるいは文化的な習い事ができる子供とできない子供が存在するということ。そして二つ目に、今まで社会で活躍されてこられた先輩方、退職者、団塊世代を始めとする多くの退職者にとってどのようにして引き続き御活躍いただくかということ。そして三つ目に、福祉の大切さをどのように若い人たちに感じてもらうかということ。
 ここで私が御提案させていただきたいのが、この図にあります世代を超えた助け合いの仕組みでございます。
 まず、豊富な人生経験を持つ退職者の方々においては、子供たちへの学習的な支援を期待するだけではなくて、退職者ならではの伝統技能、例えばお習字ですとかそろばんとか囲碁とか邦楽を始め、いろいろな伝統文化などを子供たちに継承してくださることも期待できます。この際に、特に習い事をする経済的な余裕がない子供たちを優先的に対象といたします。
 現況の放課後子どもプランでは人材確保が大きな問題点ですから、ここで必要なのはインセンティブです。サービスを提供してくださる退職者には、参加度合いに応じたポイント制度を設けます。このポイントは、医療費の負担軽減や家庭サービス、家事サービス、生涯教育や将来必要となる介護サービスなどに利用できるようにいたします。
 そこで問題となるのは、じゃ、だれがそのサービスを行うかというものが次の課題になりますが、ここで大きくポイント還元に役割を果たしてくださるのが学生でございます。特に日本の場合、比較的時間の余裕がある例えば大学生などです。大学生がポイントを集めた御年配の方々のあらゆるお手伝いをいたします。例えばお買物、お布団干し、ハウスクリーニングなど、必要があれば介護も専門家の御指導の下でやります。
 アメリカの場合では、アメリカの大学の入学要件に多く見られるのは、学力に加えてスポーツや文化活動を活発にやっていなくてはいけない。また、福祉活動での成果も重視されます。日本でも、例えば大学の入学要件が難しいということであれば、例えば大学の卒業要件にしたらいかがでしょうか。日本の大学卒業要件の中に福祉活動を取り入れてはいかがでしょうか。
 三世代、四世代にわたって同居をするとか、御近所の方々とお付き合いが少なくなった今、こういった世代を超えた皆さんを巻き込んだ、そういった仕組みが必要と思うんですけれども、このアイデアいかがでしょうか。文部科学大臣、お聞かせください。

○国務大臣(塩谷立君)
 世代間の協力を得て、子供、学生、そして退職者等が地域の中で交流を深めて、それぞれお互いに協力し合うということは大変すばらしい案だと思っております。
 現在、文部科学省で、今お話がありました放課後子どもプランについても、できるだけ地域のいろんな経験者、そういった人たちに協力を得ておりますが、具体的に学生の人たちがどの程度協力しているか今のところちょっと把握していないんですが、いずれにしましても、まずは地域の中で子供たちにそういった体験をしていただけるような協力の仕組みをつくることが私ども今考えておりますので、その先にまた学生も含めた世代間のより交流が深められる、今提案の一つのプランをまた検討させていただきたいと思っております。

○牧山ひろえ君
ありがとうございます。
 放課後プランでは人員不足が問題となっておりますが、この問題はどういった形で解消しようと考えておられますでしょうか。

○国務大臣(塩谷立君)
 基本的にボランティアでお願いをしておりまして、地域の学校あるいは行政から働きかけをしておるんですが、なかなかうまくいっているところとうまくいっていないところと実際はあるわけでございまして、例えば先日私も江戸川区を訪問したときに、これはすくすくスクールという名前で、大変行政が主導権を取って、これは厚生労働省の学童クラブと一体になってやられておりました。これは厚生労働省との、子どもプランとなかなかうまくいかないような点も実はあるんですが、その江戸川区では行政がリーダーシップを取って非常にいい形をつくっておりましたので、そういったところを参考に行政と学校と地域が連帯、連携を組んで協力者を得ていくことが大事だと思っております。

○牧山ひろえ君
ありがとうございます。
 厚生労働大臣、いかがでしょうか、今のアイデアは。

○国務大臣(舛添要一君)
 大変興味深く見ました。それで、一つ、子供から学生の矢印のところのSMILEというのを、私はここも卒業要件にした方がいいかなということと、このポイント付与のところありますけれども、実は地域の活性化でエコマネーという概念があって、こういうことをやった方にポイントを与える、それで逆にそのポイントの受渡しをやるということがあるんで、エコマネーの発想もこの中に生きているというふうにも思います。
 ただ、一つ、大変いいアイデアで御参考にさせていただきたいんですけれども、地域によって学生がいない地域が田舎なんかにあって、これが一番問題なんで、東京なんかだとこれ可能だと思います。そこをどういうようにするのかなと。しかし、私は今、何度もこの委員会でも申し上げましたけれども、一番日本人に欠けているのは社会的な連帯、世代間の連帯ということなんで、是非この中に生きておりますいいアイデアというのは政策の上でも実現をさせたいというふうに思っておりますし、放課後子どもプランについても、今文科大臣からのお答えがありましたけれども、我々も、文部科学省そしてまた少子化担当大臣もおられますので、全力を挙げてこの子供たちが健全に育っていくための施策を展開したいと思っております。

○牧山ひろえ君
せっかくですから、小渕大臣にもお伺いしたいと思います。
 実は、小渕大臣とは同じ民放テレビ局の出身でもあり、また小さい子供を育てている母親としても共通する思いがたくさんあると思います。後ほど少子化についてもお伺いしたいと思うんですが、この仕組みについてまず御意見をお聞かせいただければ。お願いします。

○国務大臣(小渕優子君) お答えいたします。
 私も、先ほどより大変興味深く、こうしたことが早く実現するといいと思いながらお話を聞かせていただきました。
 最近、若いお母さん方の間には、自分が子供を持って初めて子供を抱いたという方が大変多いというふうに聞いています。それだけ今のこの少子化社会の中で子供に接する機会がなかなかない。そんな中で、学生さんが子供と接する機会が持てるということは大変重要なことではないかと思っております。  また、私は先日、保育所と、またおじいちゃん、おばあちゃんが来るデイサービスが一緒になった施設というものを見させていただきました。子供たちにとっても大変勉強になることも多いのですけれども、おじいちゃん、おばあちゃんにとってもとても生きがい、やりがいを持つことができるということで、こうしたところも増えていくことを願っておるところであります。
 いずれにしても、少子化担当といたしましても、こうしたことが子供たちの成長に大変大きくいい影響を及ぼすことだと思っておりますので、力を合わせてやってまいりたいと考えております。

○牧山ひろえ君
 ありがとうございます。
 それでは、少子化の問題に移りたいと思います。
 私自身、二児の母親として子育てをしております。小渕大臣もお母様でいらっしゃいますから、私と同じような境遇であると思いますので、是非母親の立場としても率直な御意見をお聞かせいただければと思います。
 まず、私が子育てに関して問題提起をしたいのは、いわゆる待機児童の問題です。
 政府によりますと待機児童は減っているとの認識をよく耳にしますけれども、現実論として待機児童は本当に減っているのかどうかという疑問があります。待機することをあきらめてしまって無認可保育園を選ぶ方、あるいは、最寄りの駅の近くに保育園がないから遠く離れたところの保育園を選ぶというケースも少なくないと聞いております。
 実は先週、厚生労働省が公表したアンケート結果内に、無認可保育所への入所の検討状況という結果が出てまいりました。このアンケートによりますと、四七・一%の方が認可保育所に入りたかったけれども空きがなかったと答えております。また、一一・三%の方が認可保育園までの距離が希望に合わなかったと答えており、実は私も同じような経験をしております。私の家の近くの保育園に空きがなかったものですから、しばらく待っていたんですけれども、あきらめまして、私が会社に通っていたころ、会社とは逆の方向、二つ駅先まで行って、二人の赤ちゃんを連れてそこの保育園に入れていた経験がございます。私だけではなくて、日本中でそういった親御さんたくさんいらっしゃると思います。
 政府はこうしてあきらめてしまったという方を把握されていますでしょうか、少子化担当大臣、お答えください。

○国務大臣(小渕優子君) お答えいたします。
 保育所の入所待機児童数は平成二十年四月一日の段階で一万九千五百五十人で、これは五年ぶりに増加という数字であります。しかし、私自身、いろんな声が寄せられていて思いますのは、決して待機児童数が減っているということではないのではないかと思います。女性の社会進出は大変進んでおりまして、そうしたことは大変歓迎すべきことではあるかと思うんですけれども、やはり安心して働くことができる環境を整えるためにも保育サービスの拡充を更に私は加速をさせていかなければならないと、そのように思っております。
 今、保育所の状況というのは、待機児童数が減っているというよりは、つくってもつくっても待機児童数は減らないという認識をしっかり持つべきではないかと思っています。二次補正の安心こども基金によりまして、まずは緊急的に十五万人分の保育所などの整備を前倒しして行うことといたしました。また、認定こども園、保育ママなど多様な保育サービスへの支援も行っておりますので、こうしたことを各自治体において積極的に是非活用し、保育サービスの拡充に取り組んでいただきたいと思っています。
 また、併せて申し上げたいのは、昨今の経済状況によりまして、多くの女性が今までは働いていなかったけれどもやむにやまれぬ環境で働き始めたということで、都市部などでは保育所のニーズが急激に高まりまして、希望者が窓口に殺到しているというような報道もあります。
 こうした状況も踏まえて、この基金を更に柔軟に活用できないかということで、東京都などで今認可外保育施設が増えていますけれども、そうしたものの賃貸物件で保育を行う場合の改修費や家賃の補助、また保育ママにつきましても、年齢を三歳未満から就学前に引き上げる、あるいは自分自身の子供がいても保育ママとして活躍できるなど要件を少し緩和したところでありますし、各自治体でも、こうした緊急的な状況なので何とか定員を柔軟にしていただきたいというお願いもしたところであります。
 こうしたところを併せながら、また実態をしっかり把握しながら、待機児童が少しでも減るように努力をしてまいりたいと考えております。

○牧山ひろえ君
 これちょっと通告はしていないんですが、小渕大臣は定額給付金を子育ての目的に使われるという御計画はないでしょうか。

○国務大臣(小渕優子君) 
お答えいたします。
 定額給付金の使い道につきましては、今家族で相談をしようと思っていますけれども、多分子供のものを購入したり、あるいは今いろいろなところで子育てに関する寄附ですとか、いろいろな子育てに関するアイデアが出てきているところですので、そうしたところで使っていきたいと考えております。

○牧山ひろえ君
さて、めでたく保育園に入れたとしても、次に問題となるのが子供のけがや病気だと思うんです。大臣も御存じのとおり、子供というのはしょっちゅう熱を出したりけがをするものだと思います。保育所保育指針によれば、何かあれば保護者に連絡をすることとなっております。
 資料五を御覧ください。この中に指針が書かれております。例えば、子供の体温が三十七・五度以上などになった場合、保護者はその都度保育所に子供を迎えにいかなければならないケースもございます。そのときに必要となってくるのが病後児保育施設でございます。でも、十分じゃないんです。私の調査では全国に七百四十五しかなく、保育所総数の約二万三千と比べて圧倒的に少ないのです。病児保育と病後児保育、二通りのものがありますけれども、いずれにしても、保育所の施設に比べて三十対一なんですね。三十の保育所に対する病児保育は、保育所は一です。本当に少ないんです。
 保育所に入れたとしても、しょっちゅう病気で呼び出されて、預け先がないのであれば、当然ですが二人目、三人目はあきらめてしまう方が少なくないんではないでしょうか。少子化大臣、お答えください。

○国務大臣(小渕優子君)
 病児・病後児保育の施設につきましてはまさに御指摘のとおりでありまして、私自身も身をもってこの必要性を痛感している一人であります。保育所に預けられた親御さんの中でこの経験をされていない方はいないのではないかというほど、病児・病後児保育についてしっかりしていかないと、せっかく女性が働き始めて保育所に子供を預けることができても、仕事に専念することはできないという状況ではないかと思います。
 現状は、今お話がありましたように、実施施設の数は大変少なく、必要なときに必要なサービスの提供を受けられている親御さんは限られておりまして、施設数の拡充が緊急の課題であると感じております。
 政府は、二十一年度までに全国で千五百か所で病児・病後児保育の設置を目指して、その計画の拡充に努めているところでありますけれども、やはり全国的に見ますと、それぞれの自治体でも様々な工夫をして取り組んでいるところもあります。例えば、自治体がそうしたお子さんを病院と保育園の間を送迎するようなサービスですとか、またNPOなどで会員制で病児・病後児保育サービスを提供するような、そうした団体も増えているということでありますので、そうした成功例などもしっかり踏まえながら、こうしたものが全国にしっかり広がっていかないかということで、緊急に検討を進めてまいりたいと考えています。

○牧山ひろえ君
 現実的には、保育所というところは病後児保育所とセットで考えていかなくてはいけないことだと思うんですが、併設なども含めて国の認識を厚生労働大臣にお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○国務大臣(舛添要一君)
 この問題は非常に深刻だというのは、私も今子育て中なんでよく分かります。
 それで、一応、今言ったような病児・病後児保育、これ二十一年度末までに千五百か所まで増やそうということで子ども・子育て応援プランに基づいてやっていますし、それから、今御審議いただいている二十一年度予算案におきましては、そういう病児・病後児保育施設について、これまで定額の国庫補助でしたけど、利用実績に合わせて国庫補助を増やすというような形で改善をやっていこうとしております。
 いずれにしましても、これ本当に子供が病気になったら仕事をほっぽり出さないといけないんで、大変深刻な問題なんで、国を挙げてこの拡充ということを努力してまいりたいと思っております。

○牧山ひろえ君
 厚生労働大臣にもう一度お聞きしたいんですけど、病後児保育あるいは病児保育の収容人数というのは平均でどのぐらいなものなんでしょうか。

○国務大臣(舛添要一君)
 施設の数からいいますと、十九年実績で七百四十五か所、それから保育中に体調不良となった子供を保護者が迎えに来るまでの間、保育所の静養室で預けられる体調不良児対応型というのが二百五十三か所で、全国で九百九十八か所ということでございますので、二十一年度、つまりこの四月から始まる年度のうちにこれを千五百まで上げたいというふうに思っています。
 現実に今何人そこでケアをしているかという人数は、ちょっと数字を持ち合わせませんので、もし必要だったら、そういう数字があればお伝えしたいと思います。

○牧山ひろえ君
私が自分の個人的に知る範囲では二人とか四人とか、非常に少ないんですね。ですから、是非病後児保育所、千五百とは言わずもっと増やしていただきたいんですけれども、もっと増やす計画はおありでしょうか。また、千五百を目標とされているということですけれども、いつごろまでに取りあえず千五百まで増やそうとお考えでしょうか。

○国務大臣(舛添要一君)
 一施設何人かというのは、これも数字は後ほど明確なのがあればお知らせしたいと思います。
 千五百の目標は二十一年度、この四月から始まる年度で、来年の三月末日までに全力を挙げてその目標に到達したいと思っております。

○牧山ひろえ君
病児保育施設がなかなか増えないのはやはり小児科医の不足が背景にあるのではないか、それも一つの理由ではないかと思います。
 国として小児科医の養成などあらゆる政策をしているのは理解できますけれども、短期的に見て、今何とかして小児科医の不足問題をクリアしていかなくてはいけないと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(舛添要一君)
 長期的な施策もそうですが、短期的にも様々な手を打ちたいと思っています。
 今委員御承知のように、産科、小児科は半分のお医者さんはもう女性なんです。そうすると、御自分が出産、育児というときにお辞めになる。そういう女性のお医者さんたちを職場に復帰していただくにはどうすればいいかと。聞いてみますと、やっぱり当直とか夜勤はちょっとかなわないと。だから、十時から五時なら働けるんですよという方がおられるんで、そういう短期に働けるような形の仕組みを今入れようとしていますし、病院にしてみれば、当直してもらわないと困るなというそういう声に対しては、いや、そういう女性をちゃんと手当てしてくださるところには補助を与えるということで、今年度予算では、これは産科医の場合ですけれども、例えば女性産科医の離職防止で九億四千万円ということをやっております。
 それから、院内保育所をやるというようなことも含めてですけれども、特に産科、小児科が非常に厳しい状況にあるということで、今、一例を女性のお医者さんについて申し上げましたけれども、様々な研修制度の見直しも含め、それから地域の問題も含め、総合対策として四十五億円、この産科、小児科対策を緊急対策として来年度予算で盛り込んでおりますので、これを活用しながら今の問題に対応したいと思っております。

○牧山ひろえ君
 お一人お一人の医師に対して、医療機関ではなくて医師に対しての補助金ですか、それは十分だと思いますか。それで小児科が増えると思いますか。

○国務大臣(舛添要一君)
 今の診療報酬体系ですと病院の経営者に行くわけですね。それをそれからそれぞれのお医者さんに報酬として分けるという形ですけれども、様々な加算ということを行っていますので、例えば産科医だとハイリスク分娩加算を行う、そういう形で均てんするようにしています。それから、特に救急医、緊急の場合のお医者さんが大変だというので、これは直接的な財源措置で、例えば一人救急の患者さんを診たら五千円という形での手当てをしておりますので、これは総合的な全体の政策をやらないといけないと思いますので、先般、鈴木委員とも議論したと思いますが、要するに、ただお金が掛かるから医療をないがしろにしていいわけではなくて、私は医療というのは安心、安全のための大きな社会投資であって必ず実を結ぶと思っていますから、そういう観点から、必要な財源は、財務大臣がおられますけれども、確保していきたいというふうに思っております。

○牧山ひろえ君
 急激に小児科を増やすという意味においては、私はあっと驚くような思い切った政策が必要だと思うんですが。
 ここで財務大臣にお伺いしたいんですが、例えば、非課税まではいかなくても、税制優遇をしてみるというのはいかがでしょうか。

○国務大臣(与謝野馨君)
 税も一つのアイデアですけれども、税では解決できない問題だと思っております。むしろ、今の勤務医の勤務条件の悪さとか、その他もろもろ、小児科の先生あるいは産婦人科の先生方が抱える問題を真正面からとらえて解決するということが大事ですし、ただ演説しただけでは解決しないんで、やっぱり制度を改善する、あるいは予算の問題、財政の問題として正面から取り組んでいく必要があると思っております。

○牧山ひろえ君
やはり思い切った政策が必要だと思います。お金がすべてではないということは承知しておりますけれども、今まで前例がないとしても、税制優遇というのは考えられないでしょうか。

○国務大臣(与謝野馨君)
 税制というのはすべての方に公平に適用されるものでありまして、特定の分野の中のまた特定の方々だけに適用する税制というのを考えるのはなかなか難しい、これは是非御理解をいただきたいと思っております。

○牧山ひろえ君
 是非、前例がなくても思い切った政策をお願いしたいと思います。
 次に、時間の関係がありますので、定額給付金の問題に移りたいと思います。
 最初に支給した自治体はどこでいつなのか、そして最後に支給する自治体はどこでいつなのか、お聞かせください。

○国務大臣(鳩山邦夫君)
 最後に支給するというのはほとんど予測不可能ですが、先週四日水曜日の第二次補正予算関連法案の成立がありまして、翌日の三月五日に北海道の西興部村と青森県の西目屋村で定額給付金の給付が開始されました。給付を受けた方の喜ぶ姿がテレビ等で拝見できまして、私も非常にうれしく思いました。
 現在、市町村から補助金交付申請手続を行っているところでございますが、いいですか、ここだけ聞いてくださいね、よく。昨日までにすべての市町村から補助金交付申請書が提出をされました。全自治体でございます。ただ、まだ予算が議決されていない市町村もあると聞いておりますが、いずれされるだろうと、可決されるだろうと見込まれております。
 ちょっと古いんですが、二月二十日現在の調査で、年度内に給付開始を予定している市町村は四百団体、こういうことでありました。しかしながら、今回の補助金交付申請書の記載を見ますと、四百五十五団体が年度内に給付を開始する予定となりましたので、五十五団体ほど増えました。つまり、先陣争いという言い方は良くないかもしれませんが、先を競って早めに配ろうという空気が盛り上がってきたということが分かるわけでございます。四月下旬までには八五%の団体が給付を開始する予定です。一方、給付開始時期を五月下旬と言っているところは六十三団体、六月だと言っているところは二十一団体ございます。
 早く給付を始めてほしいという国民からの多くの声が寄せられてきております。

○牧山ひろえ君
 先ほどの質問へ戻りますけれども、最初にもらえる方と最後にもらえる方との開きはどのぐらいあるのでしょうか。

○国務大臣(鳩山邦夫君)
 約三か月でしょうかね、三月の五日にもらった方がいますから。三か月で大体収まるといいと思っております。

○牧山ひろえ君
支給時期においても公平でもないし、支給対象ということにおいても、住所がない方もたくさんいらっしゃるので、公平が保たれているというのは、私はそれは難しいと思います。
 また、これ、七割、八割の方が反対をして、それを押し切って支給するわけですから、当然のことながら、これが終わった後、事後報告、調査報告をしていただけるんでしょうか。

○国務大臣(鳩山邦夫君)
 ほかに二兆円の使い道があるんではないかというような声は随分世論調査でもあったようですが、受け取るか受け取らないかといった場合には、ほとんどの方が受け取るとおっしゃっているわけでございます。
 当然、事後評価を行うべきだと思います。これは大変大きな金額で、二次補正の大きな柱としてやりましたので、大体、総務省というのは政策評価局を持っておるところですから政策の評価をするのは当然でございまして、所期の目的がどの程度達成されたかきちんと評価をしたいと思っております。
 なお、先ほど牧山委員の示された図がありますね、子供さんと学生が割かしゆとりがあって、退職者というような、すばらしい構想でございますけど、退職者のところに団塊の世代と、こう書いてあるわけですね。これは、今団塊の世代が次々退職していく問題、これと年金と絡んでいるわけですが、与謝野大臣のように団塊の世代の前の方はいいんですけれども、私とか舛添さんというのはちょうどびったし団塊の世代なので、退職者、団塊の世代と書いてありますと案外傷つくものです。

○牧山ひろえ君
時間となりましたので終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。