財政金融委員会の質疑録です。

参議院議員 牧山ひろえ 財政金融委員会 2009.6.2
財政金融委員会 参議院議員 牧山ひろえ
○牧山ひろえ君

 まず冒頭、昨夜、連邦破産法十一条の適用を受け破産申請したゼネラル・モーターズの件についてお伺いしたいと思います。谷合経済産業政務官、今日は御足労ありがとうございます。
 さて、民間の調査会社によりますと、GMと取引がある日本国内の部品メーカーのうち百二社で売掛金が不良債権化するおそれがあるとのことです。GMの破綻で大きな打撃を受ける日本企業があるのではないかと私も心配しております。事実、米国政府によるGMへの売掛金の保証対象は米国内で生産する部品に限られ、輸入品は除外されるからです。
 日本政府としては、日本の自動車関連企業、GMの売掛金が不良債権化することを絶対に避けなければなりませんが、この点につきまして政府の対応、そしてまた国内の自動車関連企業を始めとする日本国内の各産業に対してのメッセージをよろしくお願いいたします。

○大臣政務官(谷合正明君) 
牧山議員の地元神奈川にもたくさんの自動車また部品メーカーがありますので、大変心配の声も寄せられているのではないかと思います。
 先生御指摘のとおり、現地時間の六月一日にGMが米国破産法第十一章を申請いたしました。とともに、今後の再建策に関する発表を行いました。
 本件に関しましては、基本的には我が国の自動車部品メーカーは今回のGMが再建手続に入った場合ということを想定しております。ある程度織り込み済みということでありまして、いろいろな対応策を講じてきているというふうに伺っております。一方でまた、アメリカ政府が日系を含む部品メーカーのGMに対する売掛金を保証していることもありまして、現時点で大きな混乱は生じていないものと認識しております。
 先ほど委員から、すべての売掛金が保証されるわけではないではないかという指摘もありましたけれども、日系部品メーカーは一般的に日系自動車メーカー向けの取引が多いわけでありまして、例えば連結売上高に占める売掛金の割合、非常に小さいものがありまして、影響は小さいというふうに考えております。また、そういった意味では現時点で大きな混乱は生じていないと改めて認識をしているところであります。
 経済産業省としましては、しかしながら、今回どういう影響があるのかしっかり引き続き情勢を見極めまして、我が国の自動車部品メーカーに混乱が及ぼされることがないよう、例えば政府系金融機関を通じた資金繰り支援等、検討をしっかりと深めて、また自動車部品メーカーとしっかりコンタクト、連携を取りまして、今後検討を深めてまいりたいと思っております。

○牧山ひろえ君

 ありがとうございます。是非、日本国内で自動車産業に従事する方を始めとする各産業の方々、国民の雇用と生活を守るために万全な対策を講じていただきたくお願い申し上げます。
 谷合政務官、御足労ありがとうございます。

○委員長(円より子君) どうぞ経済産業委員会の方においでくださって結構です。

○牧山ひろえ君

 与謝野大臣、通告はしておりませんが、GMとの取引関係がある国内企業について政府が金融面などから支援するということも考えられるかと思いますが、いかがでしょうか。コメントがございましたらよろしくお願いいたします。

○国務大臣(与謝野馨君) まず、チャプターイレブンで申請を行いましたけれども、申請の前に労働組合等の利害関係者との調整やアメリカ、カナダ両政府との調整が行われており、言わば大変きちんと計画された、準備された破産法の申請であったと思います。したがいまして、大きな混乱にはつながらない可能性が高いと思っております。また、我が国の自動車、自動車部品メーカーも、GMがこういうチャプターイレブンの手続に入る、そういうような場合も想定しながらいろいろ準備をしてきていたと伺っております。
 アメリカ政府がそういう意味では十分な事前の準備、対応策を講じていることもありまして、日本のメーカー等にも現段階で大きな混乱はないと認識しておりますけれども、やはり天下のGMが破産法の手続に入ったというのは容易な出来事ではありませんので、今後十分注意深く事態を見てまいりたいと思っております。

○牧山ひろえ君

 是非大きな混乱が起きないようにしっかりよろしくお願いいたします。  まず、本題に入ります前に、確定申告を推進する観点から寄附税制について以前議論させていただきましたが、前回の積み残しとしてこの話題に少し触れておきたいと思います。
 私は、去年六月、我が国の寄附税制に関する質問主意書を提出させていただきました。この質問主意書は、一番に、主要国の寄附金に関する税制において日本では優遇される団体数が極めて少ないこと、そして二番目には、寄附金控除に五千円の壁があること、また三つ目には、寄附金優遇団体においては財務報告等の透明性を図ること、そういったことを盛り込ませていただきました。しかしながら、この主意書の答弁に積極的な文言がございませんでしたので、あえて三月十七日にこの場で大臣と議論した、これが私の寄附税制に関する取組の経緯でございます。
 さて、私が主張いたしました寄附金控除額の五千円をせめて千円にすべきではないかとの意見、実は昨日、民主党としても提出させていただきましたが、御存じでしたでしょうか。是非引き続き御検討いただけましたら幸いです。

○国務大臣(与謝野馨君) 寄附金控除は、納税者や税務署における事務負担を考慮した上で、より多くの寄附を慫慂するような仕組みとする観点から適用下限額が設けられており、平成十八年度改正において一万円から五千円に引き下げられたところでございます。この適用下限額の更なる引下げについては、納税者や税務署の事務負担増等を総合的に勘案いたしますと、なお慎重に対応すべき課題であると考えております。

○牧山ひろえ君

 是非引き続き、大臣、御検討のほどよろしくお願いいたします。
 NPOの中でも公益性の高いところは寄附金控除額の上限を緩和していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(与謝野馨君) いわゆる認定NPO法人数は、六月一日現在で九十三法人になっております。そもそも、NPO法案を作りましたときに、私は自民党の方で担当しておりましたが、このNPOというのは非常に重要なんだけれども、やっぱり反社会的なもの、例えば暴力団がこういうものを利用したり、あるいは納税回避に使われたりと、こういうことだけは避けたいと思って、NPO法人の法律本体の方には税のことは書いてない、書かなかったというのがそのときの経緯でございます。

○牧山ひろえ君

 是非、いろんなNPOがあると思いますけれども、公益性の高いと明らかに皆が認めるようなところについては寄附金控除額の上限あるいは足切りについて緩和していただきたいとお願い申し上げます。
 いずれにしても、寄附金控除の五千円のハードルを下げることを検討していただければ大変うれしいんですが、やはり実際に確定申告をする際に的確なアドバイスをしてくださる税の専門家がいなくてはならない、そのように思います。寄附の文化を広めていくためには、ハードルを下げることも当然のこと、寄附金控除について正しい情報を的確に広めることも大切だと思います。
 実は、この寄附税制に関してはもう一つ大きな論点がございます。それは、先日も申し上げましたとおり、寄附した際、寄附金控除を受けられるNPO法人が非常に少ないということです。
 日本国内にはおよそ三万六千五百NPO団体がございますが、そのうちのたった九十三、大臣も先ほどおっしゃっておりました、九十三団体しか認定NPO法人は六月一日現在ではないという事実でございます。一方、アメリカではどうかというと、二〇〇七年のデータですけれども、少なくとも百十万団体を超える数の団体が寄附金控除を受けられるNPO団体なんです。この件に関しては、大臣は寄附の文化の問題だなどとおっしゃっていましたが、立法府に携わる私どもとしては、制度面から寄附税制を、寄附制度を良くしていかなくてはならないと思うんです。
 そうした意味合いから、私は、日本国内の認定NPO法人に寄附税制に関してのアンケート、先ほど大臣がおっしゃられた事務負担に関してもアンケートを取りたいと思います。彼らから直接意見を聞こうと今準備しております。この結果を、まとまり次第、大臣ほか関係の方々に何らかの形で御報告させていただければと思います。
 それから、もう一点積み残しがございます。ハンガリーなどのパーセント法についてもフォローしておきたいと思います。
 前回大臣は、このパーセント法について、これには社会的な背景があると御答弁されておりましたけれども、このパーセント法の制度面こそ私は学ぶべきものがあるのではないかと思います。私たちは、確定申告などいろいろな場面で納税を行うわけですけれども、そのときにほんのわずかでも税の行き先を私たちが、納税者が決めることができれば納税者の税意識も向上すると思うんですが、与謝野大臣、いかがでしょうか。御所見をお伺いできればと思います。

○国務大臣(与謝野馨君) 牧山先生お話しのハンガリーの例については、実は制度の詳細を承知しておらないで、大変申し訳ないんですが、具体的なコメントは差し控えたいと思います。
 ただし、一般論として申し上げれば、国の予算の編成については、政府において全国の国民各層の多種多様なニーズを総合勘案、調整して予算を作成し、それを国民の代表機関である国会に提出し、審議、採決を経て成立するというプロセスになっておりまして、御指摘のような制度の導入には慎重な検討が必要であると思いますし、憲法の予算に関する条項との関係もよく勉強しなければならないと思っております。

○牧山ひろえ君

 参考までにですが、平成十九年度では確定申告をした方が二千四百万人いらっしゃいます。そのうち七百七十七万人が四千百六十二億円を納税しております。少なくとも、その七百七十七万人が納税の際に、そのときの情勢に応じて必要とされる政策に税の行き先を決めることができたら、私はすばらしいんではないかと思うんです。例えば雇用対策であるとか待機児童ゼロとかCO2削減ですとか、あらゆる政策課題に対して微力でも支援したい、参加したいと、そう思っている方は私は日本人の中で少なくないはずだと思うんです。
 前回大臣は、私の試案、牧山試案はとても良くできていると思うんですけれども、このチェックする項目が六つですけれども、恐らく実際やったら千とか二千になるんじゃないかと思ってちょっと心配でございますと御答弁されました。ですが、筋の悪い予算集として成立した補正予算だって、やろうと思えば国民本位の政策が無限に実現できたはずだと思います。例えば、アニメの殿堂よりもっと大切なものがあったと多くの人が言っております。私も連日、地元に帰ってアニメの殿堂について伺っておりますけれども、非常に評判が悪いです。確定申告の時期ではありませんが、もしその時期であったならば、申告用紙にちゃんと選択を設けて、アニメの殿堂、一、二、病児保育施設、三、雇用対策など、項目を並べて納税者の意見を聞くことができると思うんです。
 大臣は項目が千とか二千項目になると御心配なさっておりましたけれども、そんな複雑な話ではないと思うんです。その申告のときの話題である重要な政策課題を例えば五つとか六つとか、十でもいいです、それを並べて選択をさせてあげる。そして最後に、国を信頼して任せるという項目も付けてもいいと思うんです。やはり、ただ納税するんじゃなくて、納税者が少しでもいいから納得できる納税方法にすべきだと思うんです。大臣、もう一度いかがでしょうか。

○国務大臣(与謝野馨君) 今の先生の御質問は、日本の政治体制そのものの御質問だろうと思っております。日本は代議制民主主義を取っております。ですから、ここにおられる国会議員お一人お一人が国民の代表であって、実は国民は正当に選挙された国会議員を通じて行動するということになっておりまして、国民の声は当然聞くというのは我々の義務でございますけれども、国としての意思決定は国民代表である国会議員の皆様方が決めるというのが我が国の建前であると思っております。個別項目について国民の是非を聞くというシステムではなくて、むしろ国会議員が全権委任を受けて国家の意思を決めるというのが日本の制度だろうと思っております。
 それから、アニメの殿堂というのは何かテレビ番組や何かのお笑いぐさに使われておられて、やっぱり我々としては説明不足ではないかと思っております。これは元々、安倍内閣のころから検討を始めて、福田内閣のころに日本のいわゆる製造業でない分野のコンテンツ産業をきちんと発展させるべきだと、こういうことから、ああいう施設が必要だということはもう去年から結論が出ていたことでして、これは日本のこれからの産業を考える場合、あるいは文化発信の拠点としては必要だということは前々から審議会の答申でも言われておりますし、閣議でもそういう方向で決めているわけでして、麻生内閣が突然、一週間、二週間で決めた話とは違うものであるということは予算委員会でもう少し我々が懇切丁寧に御説明すべきであったと思います。
 例えば、里中さんとかアンパンマンの作者とか、これは全面的に賛成してくださっていますので、これをアニメの殿堂という俗称で呼んでいただくにはちょっと気の毒な内容を持った立派な施設だと私は思っております。

○牧山ひろえ君

 私は、政治情勢というのはもうその都度変わるわけで、そしてそのときの課題というのは毎回変わるわけで、郵政に賛成したからといってさきの補正予算にすべて賛成だったとは私は思えません。やはり国民の意思を尊重するべきだと思います。
 では、もう一つだけ、医療費控除の十万円の足切りについて伺いたいと思います。
 資料一を御覧ください。平成十九年度の標本調査を基に、納税者七百七十万人のうち二百六万人が実際に医療費控除を申立てしている様子が分かります。まさにこの表で分かりますとおり、所得の高い人ほど医療費控除を受けることを示しています。病院に行くとお金が掛かるからやめておこう、我慢しよう、もしそうした意識が所得の差によって働くのであれば、私はこの国の医療はどうなっているのかという気持ちになります。
 私は、この医療費控除の足切り額十万円を所得によって柔軟に変更していくべきだと思います。それか、又は医療についてはひとしくお金の心配は要りませんよと言ってあげることが優しい政治だと思います。そのためには、ひとしく足切り額を下げる、あるいは、先ほど言いましたように、柔軟に所得によって足切り額を変更していくべきだと思います。いかがでしょうか、大臣。

○国務大臣(与謝野馨君) これは、低い方が医療費を負担する方にとっては喜ばしいことは間違いないんだと思いますが、それは言ってみれば他の国民が負担するという話になります。よくこういう話のときにこれは国が負担すべきだという議論をされる方がおられるんですけれども、それは自分が負担しないで他の国民に負担してほしいということを言っているにすぎないわけでして、他の国民に負担をしていただくためにはそれなりの理由というものが必要だろうと思っております。
 これは、医療費の控除については、本来は生計費の一部である医療費について、事前に予期しにくい中で支出を余儀なくされるという性格を踏まえまして、一般的な家計負担の水準を上回って支出する場合の担税力の減殺をしんしゃくする制度として設けられているものでございます。
 このような制度趣旨に基づきまして、医療費控除においては、支出した医療費の全額を控除対象とするのではなく、家計における平均的な医療費負担の水準を考慮して、支払った医療費のうち十万円を超える部分の金額を控除対象としているところでございます。

○牧山ひろえ君

 大臣は他の人の負担とおっしゃっていましたけれども、人間だったらだれだって、いつけがするか病気するか分からない、健康な人でもいつでもそういう可能性を持っていると思うんです。そういった意味では、私、医療費に関してはだれもが認めるような、そういったものだと思うんです。そんな中で、私はこの医療費控除を考えていただきたいなと思っております。
 病院に行ってきちっと治療を受けることができれば病気の早期発見にもつながりまして、結果として社会的な負担も減ると思うんです。また、医療費控除を受ける人が増えれば確定申告をする人も増えると思いますし、また税金に関心を持ち、そしてやがては政治に関心を持つ方が増えて投票率もアップすると思うんです。大臣も、税に関心を持ってもらうためには確定申告を増やすことは望ましいと、私と同じ意見でしたので、是非よろしくお願いいたします。
 さて、本題に入ります。四月十四日、衆議院の財務金融委員会でも話題になりました格付会社の社会的な責任問題についてお伺いしたいと思います。
 今回の金商法の改正案が提出された背景には、サブプライムローン問題で始まった世界的な金融危機に対して反省の意味合いも含めて今後どう対応していくべきかということが根底にあるのだと思います。具体的には、日本で言うところの指定格付機関の格付情報の信憑性のことです。
 スタンダード・アンド・プアーズ、ムーディーズ、フィッチの御三家がアメリカでは国から認定された格付機関として広く知られておりますけれども、これら三社の格付情報が甘く、結果としてサブプライムローン問題が発生したとの意見もございます。
 まず、率直に言って、大臣は格付機関が格付けた格付が甘かったのではないかと思いますか、いかがでしょうか。

○国務大臣(与謝野馨君) 今から十年ぐらい前ですけれども、イギリスに参りましたときに、イングランド銀行の幹部に格付会社というのはどう思いますかという質問をしたことがありました。そうしたら、イングランド銀行の最高幹部は、ムーディーズという会社はスタンダードでプアだと、スタンダード・アンド・プアーズはとてもムーディーな会社ですという冗談を言っておられましたが、今回のサブプライム問題については、先生言われるように、やっぱり証券化商品の格付に関して格付会社の判断は極めて機械的であって、やっぱり非常に人々を惑わすものであったと。これは、世界中でみんな格付会社に対しては怒っているというのが今の姿ではないかと。日本でも格付会社に対しては一定の枠をはめなきゃいけないと、こういう議論になったわけでございます。

○牧山ひろえ君

 また後ほど格付についてお伺いしたいんですが、私は、かねてからGPIFの年金基金の運用について関心を持っております。
 今日はお忙しい中、大村厚生労働副大臣、おいでいただきましてありがとうございます。
 GPIFの市場運用実績は、二〇〇八年四月から十二月期の利回りでマイナス九・一%、GPIFが創設されて以来最悪の水準でございます。この運用実績について、GPIFの基金運用体制が整っていないのではないかとの専門家の意見もございます。
 東大の伊藤教授によりますと、ポートフォリオの策定や運用の決定に当たって運用のプロがほとんどかかわっていない、また外部有識者で構成される運用委員会も月に一回行われるかどうかというその程度しか開かれていないなど、この無責任体制では百五十兆円の公的年金基金が泣くとのことです。私たちの年金が相当な危機に瀕しているのではないかと心配になります。
 厚労省の担当者にお聞きしましたところ、投資信託会社や投資顧問会社に運用を任せているからと伺いましたけれども、その運用先を選定すること自体がGPIFなんです。ですから、資金運用先の投資信託会社とか投資顧問会社が格付に頼った運用をしていたら、GPIFは間接的に格付に頼っていたことになるんです。
 この際、厚労省はGPIFに対して業務の是正勧告なり基準改正なり、また年金基金の適正な運用を指示すべきであると思いますが、いかがでしょうか。お答えください。

○副大臣(大村秀章君) 年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFにつきまして御質問いただきました。
 このGPIFの運用は、平成二十年度、先ほど牧山委員言われましたように昨年四月から十二月までの運用の実績が今出ております。これは六・九%のマイナスということでございました。この要因は、世界的な金融危機により内外の株式が大幅に下落した、そして為替市場で急速に円高が進んだということが大きな要因だというふうに考えております。
 なお、この格付に影響されますといいますか、関係いたします国内債券は二%のプラス、外国債券でも、為替がマイナス二〇%ぐらいの要因になっておりまして、それを除きますと八%のプラスということでございまして、そういう意味で、この格付を基準といたします運用は、GPIFの運用は御案内のようにインデックス運用ということになっておりまして、そういう意味で甘い格付ということではないというふうに思っております。
 なお、委員の一番御質問の中心のところは運用体制ということだと思いますが、これにつきましては、実際の運用は信託銀行とか投資顧問会社を運用受託機関として選定、管理をさせていただいておりまして、毎年必ず評価を行うということ、それから原則三年ごとに受託機関の選定、解約ということをやっておりまして、例えば受託運用の、三年ごとに受託機関の選定、解約を行っております。
 それから、なお、GPIFの職員の専門性の確保につきましては、内部職員の資質向上、それから金融分野に精通した人材の中途採用、こういうことを積極的に今進めているところでございます。
 なお、この年金積立金の管理運用独立行政法人の運用委員会というのを設けておりまして、十一人の専門家に月一回程度運用状況の監視をお願いをしているところでございまして、いろんな御意見を今いただいているところでございます。  なお、東京大学の伊藤隆敏先生が、今委員が言われましたこの御指摘は、ちょうど一年ぐらい前に、経済財政諮問会議なり金融庁の諮問機関といいますか研究会だと思いますが、この年金運用をもっともっと市場に積極的に運用したらどうかというような御提言をいただいた中での中心的な先生が伊藤先生だと思います。私も個人的にはよく存じ上げておりまして、当時そんなことを個人的に、私、当時はまだ副大臣じゃありませんで、衆議院の方の厚労委の筆頭理事もやっておりましたので、そんなことで意見交換をさせていただいたこともございます。そういった考え方も確かに大変大事な考えだと思いますが、やはり年金運用は、安全、安心なものをベースにしながら、そしてそれと経済成長をどう取り込んでいくか、これをバランス取ってやっていくことが必要だというふうに思っております。
 いずれにしても、この年金運用体制、引き続き、国民の皆様の大変大事な年金資産を預かっているわけでありますから、しっかりやっていけるようにこれからもきちっと指導監督をしてまいりたいというふうに思っております。

○牧山ひろえ君

 やはり、でも実績というか成績が悪いわけですから、今までの月に一回ベースの委員会の集まりですとか運用体制、しっかりと改善していただきたく、大幅に改善するべきだと思います。よろしくお願いいたします。
 格付についてまた質問を続けたいと思います。
 先ほど格付機関について申し上げましたけれども、サブプライムローン問題が発生したとの意見もありますけれども、経営責任者は責任を取ったんでしょうか、御存じでしたらお答えください、与謝野大臣。

○政府参考人(内藤純一君) お答えをいたします。
 米国に端を発しますサブプライムローン問題につきまして、米系の格付三社でございますが、に確認をいたしましたところ、代表者が引責辞任をした事実はございませんが、各社において自主改善策の公表等を行ったものと承知しております。
 なお、各三社の状況について若干補足をいたしますと、ムーディーズにつきましては、二〇〇八年五月七日付けでCOOが交代をしておりますが、必ずしも引責辞任ではないということのようでございます。スタンダード・アンド・プアーズにつきましては、二〇〇七年の八月三十日付けで社長が交代しておりますが、確認いたしましたところ、必ずしも引責辞任ではないということのようでございます。フィッチにつきましては、二〇〇八年一月にグローバル・ストラクチャード・クレジット部門のヘッドなどが退任をいたしたということのようでございます。なお、この同社につきましては、上級管理者に対して、不支給あるいは五〇%から六〇%の年間賞与の減額というものが行われたと聞いております。

○牧山ひろえ君

 格付を依頼する企業が格付機関に手数料、つまりお金を払って格付依頼をする、いわゆる利益相反関係にあること自体公平性に欠くと思いますし、結果として甘い格付になる傾向があるとの意見もありますけれども、大臣はいかがでしょうか。

○国務大臣(与謝野馨君) お金を払って格付してもらうのはおかしいという意見は、前から実は存在しております。
 それで、サブプライムローン問題については、金融技術革新の背景として、証券化商品等が急速に普及する中で関係者がモラルハザードを発生させ、リスク管理が徹底されなかったことによって金融市場全体が混乱に陥ったものであると考えております。こうしたモラルハザードが生じたものの一つとして、格付会社が発行者等からの報酬を受領して格付を付与するビジネスモデルに利益相反の可能性が内在しているのではないかと、こういう御指摘がなされております。
 格付会社の独立性確保、利益相反回避については、本法案では、格付会社に情報開示や体制整備等の義務を課することに、法的にこれらを確保することとしており、本法案成立の暁には報酬管理等の詳細を内閣府令に定めることを予定をしております。
 これらの制度の枠組みの下で、検査監督を通じて規制の実効性を確保していくことを通じて、格付会社の利益相反回避が図られるよう努めてまいりたいと考えております。

○牧山ひろえ君

 話題を変えます。
 既に、一般会計予算では三十三兆円を超える国債発行を行い、補正予算では十兆円を超える新規国債を発行いたしました。財政の健全化どころか、もしかすると今年度は税収を超える額の国債で予算を編成するというまさに本末転倒の姿であり、違和感すら感じます。
 大臣は、先月、我が党の松野議員の答弁のときに、八十八兆円の当初予算について、情けない財政状況になったと明言しておりました。このところ大臣は、骨太の方針二〇〇九できちんと説明して国民に理解してもらうんだとおっしゃっておりましたけれども、そろそろ発表される骨太二〇〇九について、特に財政再建、プライマリーバランスの黒字化に焦点を当てて、期限をいつごろに設定なさるのかも含め、御自由にお述べいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○国務大臣(与謝野馨君) 牧山先生の御質問にストレートにお答えしたいんですが、今、ちょうど先週から作業を始めたところでございます。しかし、この財政をこのまま放置していいわけがないと思っておりまして、先生の御指摘の財政再建目標というのは、二〇一一年のプライマリーバランス到達というのはもう無理、到達できないということはもうだれの目にも明らかなことですが、じゃ目標なしでやっていくのかと、これも大変無規律な世界に入りますので、やっぱり財政再建の目標、PBをどういうふうに黒字にしていくかというその道行きは、基本方針二〇〇九の中ではっきりと道筋だけは申し上げなければならないと、そういう立場に立って今作業を進めているところでございます。

○牧山ひろえ君

 ありがとうございました。
 終わります。